【一源愛誠】――天を敬い、命を知り、誠を尽くして愛す
2026.01.26
【一源愛誠】
――天を敬い、命を知り、誠を尽くして愛す
(会長の生き方随想録/人生第7ステージ随想録)
天を楽しみ命を知る、故に憂えず
――『易経』
この言葉に出会ったとき、私は不思議なほど静かにうなずいていた。
若い頃であれば、もっと観念的に読んでいたかもしれない。
しかし今は違う。この言葉は、頭ではなく、命の深いところに直接届く。
「天命を知り、それに安んずる」とは、決して運命に身を委ね、諦めることではない。
それは、与えられた命の流れを丸ごと引き受け、その中に意味を見出し、
なお前を向いて生きていくという、静かだが揺るぎない覚悟のことなのだと思う。
人は、思い通りにいかぬ現実の前で、初めて「生きている」という事実と向き合う。
思い通りにいかないからこそ、命は深くなり、人生は厚みを持つ。
そしてある地点を越えると、人はようやく「生かされている」という感覚に辿り着く。
私はこの『易経』の言葉を、「敬天愛人」という思想と重ねて受け取ってきた。
天を敬うとは、自然の理の前に謙虚であること。
人を愛するとは、目の前の一人ひとりに、誠を尽くして向き合うこと。
この二つは、切り離せばただの理念だが、一つに重なったとき、生き方そのものになる。
そして私は、長い年月を生きる中で、そこにもう一つの言葉を重ねるようになった。
それが、私自身の造語――**「一源愛誠」**である。
すべてのものは、一つの源から生まれている。
自然も、人も、出会いも、別れも、成功も、挫折も、
喜びも、悲しみも、すべては同じ源から流れ出た、命のかたちに過ぎない。
ならば、その源に立ち返り、誠を尽くして愛する。
それこそが、人として最も正直で、最も強い生き方ではないか。
「一源愛誠」とは、私の思想であると同時に、私自身への戒めでもある。
この言葉には、理想と現実をつなぐ力がある。
対立を越え、分断を溶かし、調和へと向かわせる力がある。
そして何より、人の心の奥に、静かな灯をともす力があると、私は信じている。
変化の波が激しく押し寄せるこの時代、
私たちはつい、外の正解ばかりを追い求めてしまう。
しかし、本当に拠り所とすべきものは、外にはない。
自らの内なる「一源」に、どれだけ深く耳を澄ませられるかなのだと思う。
そこから湧き上がる「誠」と「愛」を、
日々の仕事に、家庭に、人との関わりに、静かに映していく。
それができるかどうかで、人生の品格は決まっていく。
一源愛誠――
それは、私の人生の原点であり、
幾度となく立ち止まり、また歩き出すたびに立ち返ってきた場所であり、
そしてこれから人生の最終章へ向かう私にとって、
なお一層、深く、重く、確かな――生の道しるべなのである。
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