ワクワク楽しく働く改革へ
2019.02.20
今月より、働き方改革関連法に基づき、時間外労働の上限規制の導入、
一定日数の年次有給休暇の確実な取得、勤務間インターバル制度の普及促進等が施行されます。
そこで、今回の羅針盤は、特別寄稿とさせていただき、働き方のあるべき姿を見直したいと思います。
●働かない改革になってはダメ
その一方で、現在、わが国は高齢化と少子化のダブルパンチにより、
日本の生産年齢人口(一五歳から六四歳)は減少の一途をたどっています。
この状態を放置すれば、税収は減り続け、近い将来、日本の財政は必ず破綻します。
そこで政府は「一億総活躍社会」のキャッチフレーズのもと、女性の職場進出、
高齢者の活用、個人のニーズに合わせた働き方などを提案、実行しました。
いわゆる「働き方改革」です。
しかし、その一方で、働き方改革の目的と手段を、履き違えている人も現れるようになりました。
働き方改革ではなく、言うなれば「働かない改革」になってしまうのです。
労働時間の短縮は、目的ではなく手段であるということを認識すべきでしょう。
それは、各企業が、自分の会社の実態に応じて、理想の環境を整備確保し、
揺るがない労働基盤を構築することが先決だと思うのです。
●それぞれの企業に相応しいシステムを構築すれば良い
翻って、躍進の社歴は一九年に迫りますが、その間二〇名の社員の出入りがありました。
現在、正社員は八名、契約社員一〇名、計一八名です。
省みると、新入社員が育ちこれからという時に退職するケースが幾度か周期的にありました。
このように、欠員が出ればそれを補充するまで、他の社員で対応せざるを得ない現実があるのです。
この時、一番重要なのは、人員をやりくりし、円滑に業務遂行することです。
その中で、まさにピンチはチャンスとし「業務見直しができるチャンス」と捉えてきました。
そして、常に原点に立ち返り、不易流行の如く、
無くしてはならぬものと新たに創造するものを見極め、
最終的にイノベーションを実現することが必要なのです。
当然、時間外労働も必要なのです。
通常の状態を確保するまで、業務をやり遂げなければ、会社は機能不全に陥ります。
それでは、お客さまに大きな迷惑がかかってしまい、
会社の信用は失墜することになります。それだけは断じて避けなければなりません。
このように、組織においては少なからず避けられない実情というものがあるのではないでしょうか。
「ヒト、モノ、カネ、知恵、情報、時間」の損失を防ぐのも、やはりヒトなのです。
そのヒトのトップは言うまでもなく経営者で、すべては経営者の責任となるのです。
だからこそ、日頃から実戦にて、共に育む社員共育は欠かすことができないのです。
組織において、人事というものがいかに大切であるか痛感すると同時に、欠員が生じ、
新たに人を雇用する際の面接は、経営者として最も重要な業務の一つです。
もちろん、決してリップサービスなどできません。
あくまでも、実態をありのままに説明して、現状と未来のビジョンが指し示すところと、
雇用条件や体系を理解してもらい、一緒に働けるか否か判断してもらうようにしています。
それは、既存の全社員も同様です。
特に再確認する原点は、何のために働くのか、自分の存在価値、意義はなにかということです。
今一度、自分の志、使命責務を肝に銘じ、意気揚々と活動している姿が、
良い社内環境を創り、周囲に士気向上が伝播するのです。
まさに、周囲のお手本となる社員を育成することが最優先となる課題の一つです。
肝心なのは、机上の教育ではなく、すべて実践の中で、共に育む共育を最優先に進めることです。
このような背景を省みると、あらゆる企業において働き方改革は、
各々の企業や組織に応じて真剣に取り組んでいかなければなりません。
しかし、その本質は、お客さまに信用を得るための基盤を確保し、
基幹・機軸をぶらさずに、入口から出口までの仕組みづくりにあるのです。
もちろん、企業ごとに成すべきことは千差万別、多種多様であると思います。
それには、その企業に相応しいシステムを構築すれば良いのです。
それは、全社員の生活を守る基盤づくりに通じるのです。
●働く日本を支えてくれた父の姿
確かに「働きすぎは悪」かもしれません。
「仕事はコンプライアンス優先」であるのは、当たり前でしょう。
この言葉を踏まえたうえで、決して働かない日本にだけはしてはならないと思うのです。
日本全体がそんな方向に進んでは、誰も頑張らないし踏ん張らない。そんな国には断じてしたくありません。
私の父は、クリーニング業を自営し生計を立て、兄弟二人を育ててくれました。
年齢とともに、仕事が身体にも辛く、長年の疲労が蓄積して腕が上がらない腱鞘炎になってしまいました。
それでも、古くからのお客さまがいるので、やり続けるといって、
昨年八三歳まで、洗い場、仕上げ、アイロンと一人三役をこなしてきたのです。
私は、父が仕事を休んだ姿を見たことがありません。
私たち兄弟を育ててくれ、弟を大学まで出してくれました。
まさに、母と二人三脚で個人商店を切り盛りして働いてきたのです。
尊敬できる両親であり、父の姿です。
技能者のなかには、このような人は数多くいると思います。
特に、伝統工芸の技能者などは、そうした姿が顕著な方ばかりかもしれません。
こういう姿勢こそ、日本の精神文化であり仕事に対する文化だと思うのです。
まさに、戦後の日本の国を支えてきた功労者です。
この精神を、私は受け継いでいくと心に刻んでいます。
もちろん、本人の意にそぐわない長時間労働を会社が強いることは大きな問題です。
しかし、寝食を忘れて仕事に没頭してきた人たちがいたことも、また現在もいることも事実なのです。
政府が提唱する様々な規制は、人間の労働意欲の制限に繋がるものであってはならないと思います。
やる気を確実に削ぐようなことになってはならないのです。
●一生懸命に働く精神文化を今一度蘇らせたい
そして、私が宣言したいのは、働き方改革から、「人生大善生活改革」への移行です。
自分の人生をどのように生きるのか、何のために働くのか、
この仕事でどのような社会貢献をするのか、また自分の希望は何か、
志を果たすにはどうすれば良いのか等、自らの使命と責務を確固として生きていきたいものです。
このようなことが、自己変革、精神改革革命であり、「人生大善生活改革」へと繋がっていくと思うのです。
働いてお金を稼ぐことの本質は、極めて奥深く幅広いものです。
政治家や官僚の机上の論理で、汗水たらして働く労働者たちの人生を決めようとしている働き方改革は、
まさに本末転倒としか言いようがありません。
働かないで、経済的な豊かさだけを得ることはできません。
過度な経済的豊かさはいらない、自分の時間がほしいというのなら、それで良いでしょう。
しかし、働くのは嫌だけど、経済的に豊かな生活がほしいというのであれば、ちょっと虫がよすぎると思います。
本質的に、仕事を楽しいものにすることが、真の働き方改革なのです。
「働かざる者食うべからず」という言葉がありますが、働かない日本の末路は本当に哀れなものになると思います。
日本人に受け継がれてきた、一生懸命に働く精神文化を今一度蘇らせていくと決め、
躍進は異体同心の団結で、各自がワクワク楽しく働き、自己変革に挑んでいる途上であります。
そして、最終的には、前号で述べた、SDGs(※)を組み入れた働き方改革を目指していく方針です。ご期待ください。
※ 世界が二〇一六年から二〇三〇年までに達成すべき一七の環境や開発に関する国際目標
「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。
そして、この一七の目標を、より具体化したものが一六九のターゲットです。
株式会社 躍進 代表取締役社長笠井輝夫
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