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改めてネット時代を考える
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改めてネット時代を考える

2019.07.24

2019年7月21日に投開票された第25回参議院選挙は、自民、公明両党の与党側が、
改選過半数を超す71議席を得て勝利したことは、ご存知のとおりです。
その一方で、今回の選挙の台風の目とも言われた、れいわ新選組(以下、れいわ)は、
山本太郎代表みずからの議席を失ったものの、2議席を獲得しました。
さらに、NHKから国民を守る党(以下、N国党)も、代表の立花孝志氏が当選し、1議席を獲得しています。
投開票が行なわれた21日は、各局で選挙特番が設けられ、政治家や有識者が激論を交わすという、
おなじみの光景を目にしましたが、ようやくその興奮も冷めてきました
今回は、イデオロギーから離れつつも、ちょっと私見を交えて、ネット文化に潜む問題を述べてみたいと思います。

「バカが意見を言う世の中になった」
評論家の小谷野敦氏は、その著書『すばらしき愚民社会』において、「バカが意見を言う世の中になった」と指摘しています。
これは、言うまでもなく、ネット上での様々な投稿を指しています。
平成の中期あたりからインターネットが急速に普及しましたが、ネット上には、我が国においては、
誰もが自由に、時には自分勝手に意見を言えるようになったのです。

その投稿文化の普及を後押した、原点であり本家とも言うべき立役者は、
巨大な電子掲示板『2ちゃんねる』でした。
『2ちゃんねる』は、当初、大きな社会問題になりました。

なぜなら、匿名で自由に意見を言えるという隠れ蓑のなかで、
個人や特定の団体などに対する差別や誹謗中傷があふれたからです。

中には、フラれたことを恨みに思い、元交際相手の住所氏名をネット上に公表するという、
著しいプライバシー侵害もなされたのです。
まさに、公衆便所の落書きを、ネット上で展開しているレベルなのです。

そのため、後に投稿にIPアドレスが付与され、投稿者を特定できるシステムに変更し、
プライバシー侵害に対応するものになりました。
おかげで、そうした内容の投稿は激減したものの、プライバシーを侵害しない、
民法に抵触しない範囲での間違った意見や、偏見に満ちた意見は、相変わらず増え続けたのです。

分かりやすく言えば、飲み屋でオヤジたちが、自分勝手に世の中のことをワーワー言っていますが、
それをそのまま、不特定多数が閲覧するネット上に公開しているのです。

例えば、今年の5月11日、丸山穂高衆議院議員(大阪19区選出)が、
滞在先の国後島古釜布の日本人とロシア人の友好の家で、訪問団の団長に対し、
酩酊状態とはいえ「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などという発言です。
こんな内容も、一個人の意見としては自由なので、ネット上に投稿することは、法的に問題はないのです。

しかし、これはやはり、街の居酒屋においていわれるレベルの意見です。
飲み屋で、オヤジたちは「ロシアは、『戦争で取られたものは戦争で取り返せ』という発想の国だから、
話し合いで北方領土を返還するつもりはない。戦争で取り返すしかないんだ」と言っていますが、
本来なら、そこで留めておく程度なのです。

それが、ネット上に公開できることで、日本語の閲覧ソフトを搭載したデバイスを持っていれば、
地球の裏側のアルゼンチンでも、この意見を閲覧することができるのです。

当然、それに対するレスポンスも可能です。
賛成、反対の意見を言えば、当事者以外の第三者も割り込んで参加し、議論はどんどん話を広げます。

その議論のテーブルは、まさに玉石混交でしょう。
まともな意見もあれば、完全に事実誤認をしているもの、取るに足らない内容のものもあります。

それでも、もし「わが意を得たり」と共感する人がいれば、
さらに変な意見が投稿され、どんどん拡散していくのです。

私は若かったころ、もし多くの人に自分の意見を述べたければ、
新聞や雑誌の投稿欄に、投書するしかありませんでした。

当然、その内容は、新聞社、出版社のチェックが入ります。
誰が見てもアホだと思うようなレベルの文章が、掲載されることはないのです。
つまり、バカは意見を言えない時代だったのです。
しかし、前述のように、今ではバカが言いたいことを言い、それが公表される時代になりました。
その影響は、決して小さくはないと思うのです。

■ネット上の拡散が当選をもたらしたれいわ
前述のように、れいわは、山本太郎代表は議席を失いましたが、2議席を獲得しました。
ここで感じるのは、欧米で吹き荒れている左派ポピュリズムです。
ウィキペディの解説を借りますと、ポピュリズムとは、「一般大衆の利益や権利、願望、不安や恐れを利用して、
大衆の支持のもとに、既存のエリート主義である体制側や知識人などと対決しようとする政治思想、または政治姿勢のこと」とされています。
日本語では大衆主義、人民主義などのほか、否定的な意味を込めて衆愚政治や大衆迎合主義などとも訳されています。

また、同様の思想を持つ人物や集団をポピュリストと呼び、民衆派や大衆主義者、
人民主義者、もしくは大衆迎合主義者などと訳されています。
ポピュリズムも、左派と右派はあります。

左派は、主に財政の健全化や所得再分配、右派は反グローバル化などを提唱しています。
そして、その最大の違いは、個人やマイノリティーを強く認めるか、
権威主義的、伝統的な価値観を優先させる社会の実現をめざすかどうかという点です。

れいわの山本太郎代表は、「20年以上続くデフレは、自民党の経済政策の誤り」
「生活が苦しいのは、間違った経済政策のせい。消費税は廃止しかない」
「税金は金持ちから取れ」などと主張して、2名の当選者を獲得しました。

その、れいわの当選者は、難病患者です。彼らを当選させたことは、
障がい者というマイノリティーが、自らの手で物事を決定する権利を認めることになります。
しかし、れいわは、テレビをはじめとする巨大メディアでは、あまり取り上げられませんでした。
厳密には、政党ではないため、テレビ主催の党首討論会にも呼ばれませんでした。

ならば、なぜこのように躍進したのか。それは言うまでもなく、ネットによる呼びかけの拡散が、れいわ支持を集めたのです。

私の知り合いは、この選挙期間中、スマホのSNSの画面を開くと、れいわ支持者からの直接的な呼びかけだけでなく、
関連したサイトから、れいわに関する宣伝通知が寄せられたといいます。

おそらく、ネット上のAI(人工知能)機能によって、一度ページを開いて閲覧するすると、
れいわは関連項目と認識され、自動的に多くの情報が寄せられたのだと思います。
そして、その影響が投票行動につながり、結果として、2名の当選者の獲得しました。
これは、ネット文化がなかった昭和の時代には、考えられない現象です。
その当時なら、れいわの候補者は、ただの泡沫候補に終わっていたはずです。

れいわが掲げた公約も、けっして現実味のない、実現不可能なものばかりですが、
共産党のような政党であれば、確固たる組織票があるため、昭和の時代でも、
与党のチェック機能を果す程度の人員は当選させることができます。
しかし、れいわには、組織票はありません。まさにネット時代の選挙が生んだ申し子なのでしょう。

同時に、考えてみれば、特に若い世代などは「テレビは観ないけれども、スマホはみる」
「テレビ番組もスマホで見る」のが、当たり前とされています。
電車に乗れば、座っている人の9割以上が、なんらかの目的で、スマホをいじっています。
ネットを閲覧しているのも知れません。LINEなどのSNSでやりとりをしているのかもしれません。
ネット上で対戦するゲームに興じているのかもしれません。
しかし、いずれにせよ、ネットから受ける影響に大きく左右される環境にあることだけは間違いないでしょう。
この土壌こそが、れいわを躍進させた最大の要素なのです。

■一組織への抵抗という“単品商売”で当選を果す
れいわとともに話題となったのが、N国党代表の立花孝志氏の当選でした。
政見放送では、「NHKをぶっ壊す」はもちろんのこと、職員の不倫などのスキャンダルを取り上げ、
公約とは受け取れない、いわば恨み節のような内容の制作をあげ、代表は当選を果したのですから、ただただ驚きです。
NHKという一組織へのさまざまな主張という、いわば“単品商売”で当選を果したのですが、
それが果たして国会議員が果すべき、国益確保につながるかは、議論の余地があると思います。

それでも、立花代表を当選させたのは、これもまた、ネット上における情報、特に立花代表の、過去の動画です。
立花氏は、過去に各地方議会の選挙の候補者になっていました。その前後に、さまざまな動画を配信しているのです。
その動画は、決して強い政治思想に裏打ちされたものではないのですが、前述の政見放送のように、非常に面白いのです。
それを閲覧してきた、特に若年層は「なんか面白い」「爆笑してしまった」という、いわばノリで、今回の投票行動に出たと思われるのです。
N国党の支持者の多くは、あくまで私見ではありますが、政治的には非常識な層である可能性が高いと思われます。
彼らには、保守も革新もないのです。投票は、動画閲覧の延長行為に過ぎないのです。理由はひとつ、面白いからです。
「こんな面白い人が当選したら笑えるよね」という、本当に軽いノリが動機だと思います
これも、ネットがもたらした極めて大きな影響といえます。
また、ネット以前の、昭和の時代に戻りますが、その当時に面白映像なんて、テレビのお笑い番組でしか見られませんでした。
しかし、現在ではユーチューブをはじめ、多くの動画サイトに、素人もふくめた投稿者が動画を投稿し、ユーチューバーと呼ばれる人気投稿者が生まれました。
ユーチューバーは、今年の2月に実施された「全国の小学生の将来つきたい職業ランキング」で3位にランクインているのです。
つまり、それだけ動画と言うものに、影響力と値打ちがあることを認めているのです。
それが、国政選挙にも大きな影響を及ぼすまでになってしまったことは、
例えば今後、人気ユーチューバーの国会議員が、何人も誕生する可能性が大きいといえましょう。

■いつの間にか問題がすり替わってしまった吉本批判
選挙とは関係ないかもしれませんが、投開票の翌7月22日に放送された、
お笑い界のトップ企業である吉本興業の岡本昭彦社長の記者会見も、まさにネットがもたらす功罪が折り込まれていると思いました。
吉本興業が、一連の「闇営業」問題の流れから、岡本昭彦社長が5時間30分にも及ぶ記者会見の一部を、民放各局はライブ中継していたのです。
「え?選挙特番の翌日は、『吉本特番』なの?」と、誤解してしまうほど、テレビの報道姿勢に、ちょっと違和感がありました。
選挙と吉本興業の問題は、一見関係がなさそうに見えますが、共通点として、ネットにおける双方向の情報拡散が、
世論を構築し、あくまで吉本興業という一企業の問題に過ぎないことを、まるで社会問題であるかのように、
テレビが大げさにとりあげるという現実を作り上げていると思うのです。

本業だけでは生活できないお笑い芸人が事務所を通さない「アルバイト」をした
→その相手が反社会的組織だった→ギャラはもらっていないとウソをついた→謹慎処分
→しかし、そもそもなぜ「アルバイト」をしなければならないのかという根本的な問題が浮上
→さらに別の反社会的組織メンバーと撮った写真が公開→契約解除→対応について会社と芸人との合意がつかず
→当事者の芸人が独自記者会見→事態収拾のため社長の記者会見、というのが、今回の騒動の主な流れです。

しかし、冷静に考えれば、芸人たちが反社会的組織とは偶然に接しただけで、いわば彼らも被害者です。
それに、なによりも、この問題は吉本興業という一民間企業の問題です。
そして、そもそも糾弾すべきは、当該反社会的組織そのものなのです。
それなのに、いつの間にか、吉本興業という会社の企業体質が、諸悪の根源であるということにすり替わってしまいました。

こうなった原因の一助は、以前から吉本興業のやり方(ギャラの配分や、パワハラまがいの対応など)に
大きな不満を持つ、特に無名の若手芸人たちによるネットへの投稿にあります。
前述の小谷野敦氏の「バカが意見を言う世の中になった」同様に、「弱者が意見を言う世の中になった」という側面が窺えるのです。

また、昭和のころに戻りますが、当時、芸人が事務所のやり方に不満をもっていても、
直属のマネージャーに「なんとかしてくれ」というのが精一杯でした。
その声が、トップに届くかどうかは分かりませんが、少なくとも外に漏れることはなかったでしょう。
しかし、前述のように、日本語の閲覧ソフトを搭載したデバイスを持っていれば、
地球の裏側のアルゼンチンでも、この意見を閲覧することができるのです。
公開された彼らの意見が、吉本本体に直接的な影響を与える可能性は低いですが、広く世間に対して、共感を得ることは可能です。
そうして作り上げられた空気が、どんどん膨張し巨大化すれば、世論を構築し、会社だけでなく、世の中を動かせるのです。

■ネットの普及・進化は諸刃の剣
その一方で、こうして作り上げられた世論は、極めて無責任なものであることを認識しなければなりません。
一歩下がって、冷静に今回の参院選や、吉本興業の騒動を見つめると、果たして、れいわは出来もしない公約を果せるのか、
N国党は国政に対して何が出来るのか、いまや完全に悪者にされ吊るし上げになった吉本興業の岡本社長にも言い分があるはずなのではないかと、考えてしまいます。
そして、れいわはやはり口先だけだった、N国党はNHK批判を国会という場違いなところに持ち込みそれ以外は何もできないままだった、
岡本社長はコミュニケーション能力の低いものの優秀な経営者だったとしたら、誰が責任を取るのでしょうか。
いまや、マンガもネットで読む時代になり、同時に、ネットに日々接する機会も、どんどん増えていくようになります。
私たちは、ネットと接するときに、直接的、間接的に、程度の差はあれ、責任があることを忘れてはいけません。
そして、自分が接した情報の真贋を見極める眼力も要求されます。
つまり、ネットの普及・進化は、諸刃の剣であることを忘れてはいけないのです。

情報は、少ないと心細いですが、多すぎると混乱を招きます。
そして、ネットの情報は、前述のように、玉石混交です。著名人が書いたものが正しいとは限りません。
逆に、無名の一般人の言葉に、胸を打つことも多くあるでしょう。
ひょっとしたら、秋までに衆院選が行なわれるという空気も出てきました。
吉本興業の問題も、さらに長引き、予想以上にあちこちに広がっていくと思います。
今回の参院選、吉本興業の騒動を振り返り、情報を冷静に客観的に取捨選択し、
必要最小限なものだけを携えることで、これからのネット時代を生きていけるような気がしました。

      株式会社 躍進  代表取締役社長笠井輝夫

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