森羅万象から学ぶ人生羅針「魂が打ち震える感覚に出会う」

2025.01.03

　哲学者・阿部次郎氏は、「生きるための職業は、魂の生活と一致するものを選ぶことを第一にする」と述べています。実にしびれる良い言葉です。

　ここで「生きるため」について、きちんと定義づけしたいと思います。生命や日々の生活を経済的に維持するためなどではなく、自己実現し自分らしい一生を送るための職業であるということです。

　そして、「魂の生活」とは、自分が生きていることを実感できる生活です。生きていれば誰でもそのことを実感できるのではないかと思われがちですが、そうではありません。自分の魂に嘘をついていればそれは不可能です。魂に嘘をつかないでその日1日を全力で生き抜ける生活です。

　「魂の生活」に一致する職業は天職です。しかしその天職は、簡単に見つかるものではないのです。自分の好き嫌いを元に方向性を決め、その先にある目的・目標のために努力することで、天職を獲得することができます。

しかし、すべての人が天職を自覚しているわけではありません。そこで思い出されるのが、この『森羅万象から学ぶ人生羅針盤』の常連である、物理学者・寺田寅彦氏の言葉である、「興味があるからやるというよりは、やるから興味ができる場合がどうも多いようである」が生きてきます。

　自分には何が向いているか、何が得意なのかが分からなければ、何かのきっかけで知った職業にトライしてみましょう。そして携わっているうちに、やりがいという「魂が打ち震える感覚」に出会ったら、それが生きるための職業と思って間違いありません。どんどんチャレンジしてみてください！