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森羅万象から学ぶ人生羅針盤「やってみなければ分からない勇気」
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森羅万象から学ぶ人生羅針盤「やってみなければ分からない勇気」

2022.09.12

森羅万象から学ぶ人生羅針盤「やってみなければ分からない勇気」
 高名な物理学者で、随筆家、俳人でもある寺田寅彦氏の著作『科学者とあたま』では、「科学者になるには頭が良くなくてはいけない」と述べています。これは至極当たり前の話であって、専門的知識を素早く理解し、物事を論理的に考え、先を見通す直感力と分析力があってこその科学者だからです。

しかし、その一方で、前言とは矛盾するような「科学者は頭が悪くなくてはいけない」とも述べています。これは、誰もが分かっていることでも理解するのに遠回りするような思考手順も必要であり、それを「頭が悪くなくてはいけない」という言い方をしているのです。そうした不理解の元になった疑問点から、新たな発見があるからです。

 科学者に限らず、頭のいい人は見通しが利きすぎるだけに、あらゆる道筋における前途の難関が見渡される傾向にあります。そのため、往々にして情報過多になりすぎて混線し、足踏みしてしまうものです。これについて寺田氏は、「頭の良い人は批評家に適するが、行為の人にはなりにくい。すべての行為には危険が伴うからである」と指摘しています。

それに対して頭の悪い人(厳密には頭が悪いように見える人)は、仮に将来の見通しが悪くても、リスクを必要以上に恐れないため、緊張することなく楽観的であるため、チャレンジ精神に溢れています。その結果、様々な難関をどうにかして切り抜けることができてしまうものです。なぜなら、どうにもならない難関などは、極めて稀な存在だからです。

 やはり、大いなるチャレンジ精神に基づき、何事も「やってみなければ分からない」という勇気を持つことが、頭の良さというよりも、真の賢さであることを強く認識すべきでしょう。

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