森羅万象から学ぶ人生羅針盤「デメリットの本質を理解する」

2023.01.09

森羅万象から学ぶ人生羅針盤「デメリットの本質を理解する」
　ヤマト運輸において「宅急便」事業を生み出した小倉昌男氏は、実父の経営する運送会社に就職し、昭和46年に社長に就任するのですが、オイルショックによる不況をきっかけに、思い切って主業を個人向けの宅配業、つまり現在の「宅急便」サービスに切り替えたのです。

しかしその時代では、個人向け宅配業は、当時の国鉄が主なシェアを占めていたので、そんな市場に乗り出しても決して儲からないと否定的な意見に包まれたのです。

　そんな国鉄の宅配業には、配達から到着まで10日もかかるケースがあるため、利用者には不満を抱える人がたくさんいました。そこで小倉氏は、「デメリットのあるところにこそ、ビジネスチャンスがある」として、10日も待たされるデメリットの裏側に「早さのメリット」が潜んでいることに気付いたのです。

そして、最初は関東一円をエリアに、国鉄よりも良いサービスを提供することで急成長し、事業開始から3年目で1000万個の取り扱い件数を数えるまでに成長しました。そして、最終的には全国ネットの配達サービスを実施できるようになったのです。

　デメリットは、環境における運用法によって生み出されるだけで、別な環境を自ら作り、それを生かす運用法を知っている人なら、その裏側にある大いなるメリットを生かせます。小倉氏は、国鉄の宅配による「10日も待たされるデメリット」の裏側にある「1日でも早く配達してくれるメリット」を実現しただけなのです。

デメリットの本質を理解していれば、誰でも小倉氏のような成功を手にすることが可能であると強く認識してください。