森羅万象から学ぶ人生羅針盤「バランスの取れた判断をする」
2022.01.29
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「バランスの取れた判断をする」
宋王朝の太宗であった趙匡義(ちょうきょうぎ)は、宰相の呂蒙正(りょもうせい)に対して、「国を治むるの道は寛猛中(かんもうちゅう)を得るに在り。寛なれば政令成らず、猛なれば民、手足を措(お)くなし。天下を有(も)つ者、これを慎まざるべけんや」と指導しました。
寛猛中とは、優しさと厳しさのバランスを取ることです。政治は、このバランス確保が大事で、優しすぎれば統治そのものが成り立たず、厳しすぎると民間活力が失われてしまうのです。
太宗の指導を受けて、呂蒙正は、以前ご案内した老子の言葉である「大国を治むるは小鮮(しょうせん=小魚)を烹(に)るが若(ごと)し」を例に挙げ、小魚を煮るときは、箸でかき回すのは最小限に留めて型崩れを防ぐように、物事の細部にまで口出ししないで、民間活力を確保すべきであると答えました。
しかし、多くの人は、規制が厳しいことに不満を口にすると同時に、もし大きな社会問題が発生すると、「国は何をやっているんだ」と憤るものです。やはり、規制と緩和のバランス確保が大事なのです。
これは会社でも同じです。確かに、不必要に社員を縛れば、自主性を失い活力が削がれて、業績に影響することになります。しかし、当然、物には限度があります。会社の理念や基本方針に沿わない行動まで認めるわけにはいきません。それでは組織そのものが崩壊してしまうからです。
このように、指導者たるものは、どんな立場であっても、幅広い視点と、多大なる知識と、重い責任を持って、バランスのとれた正しい判断をしなければならないことを肝に銘じておきましょう。
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