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森羅万象から学ぶ人生羅針盤「一歩下がって言葉を見つめる」
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森羅万象から学ぶ人生羅針盤「一歩下がって言葉を見つめる」

2022.06.10

森羅万象から学ぶ人生羅針盤「一歩下がって言葉を見つめる」
 少し前に、連合国軍最高司令官を務めたダグラス・マッカーサー元帥の「日本人は12歳の少年」や、ある著名なタレントの「不倫は文化」という発言を挙げ、「情報の切り取り」がなされて、真実が曲解されていることをご案内しました。

 これに関連して、内閣総理大臣を務めた池田勇人氏の「貧乏人は麦を食え」という発言も、大きなバイアスがかけられています。これは、第三次吉田茂内閣の蔵相時代の1950年12月7日の参議院予算委員会で述べられたものです。

戦前は米100に対し麦は64ぐらいの割合で食べられていましたが、戦後は外米が入らなくなったため、米100に対して小麦は95、大麦は85という割合になっていました。しかし、統制のもとに高額所得者も低額所得者も同じような米麦の比率で食べていたのですが、米がないため、国民全員に十分な米が行き渡らなかったのです。

これを踏まえて、池田氏は「所得に応じて、少ない人は麦を多く食べ、多い人は米を食べるというような、経済の原則に沿ったほうへ持っていきたい」という主旨の言葉を述べたのです。つまり、資本主義経済の原則では仕方ないことを述べただけなのですが、まるで「貧乏人には麦でも食わせておけばいいんだ」と、あまりにも無慈悲な暴言とも受け取れる新聞の見出しが躍ったのです。

 その一方で、悪い行いを「やんちゃ」と、面白おかしく聞こえるように言う人もいます。その人の言う「やんちゃ」は、刑事罰の対象となる数々の行為であり、それを文字通りやんちゃ坊主のいたずら程度に軽々しく話す人間性には問題があるでしょう。

 このように、人の言葉は必ず一歩下がって見つめないと、その人の印象に左右されてしまいます。しかし、一歩下がればその真意はありありと見えてくるものです。冷静さと客観性を忘れて言葉に踊らされると、人としての見識を疑われることを忘れないでください。

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