森羅万象から学ぶ人生羅針盤「不要なものを捨てより優れたものを生み出す」
2024.06.24
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「不要なものを捨てより優れたものを生み出す」
“楽聖”と謳われた大作曲家のベートーヴェンは、「今何が流行しているか考えるより、何がいらなくなるかを考えるのも面白い」と、そのイメージから想像しにくい世俗的な興味深い発言をしています。
しかし、音楽に詳しい人は決して“ベートーヴェンにしては面白い発言だ”とは思わないでしょう。なぜなら、いらなくなるものを考えることは、パイオニアの大きな要素だからです。
実際にベートーヴェンは、それを実証しました。小中学校の音楽室には歴史に名を刻んだ名作曲家の肖像画が、年代順に飾られていますが、モーツァルトやバッハなどは、いわゆる白い巻き毛のかつらをかぶった肖像画です。
しかしベートーヴェン以降の作曲家は、そうしたかつらをかぶっていません。なぜならベートーヴェンは、作曲家をアルチザン(職人)からアーティストに変えた先駆者だからです。
その当時のかつらは、王様や貴族を訪ねる時の正装に欠かせないアイテムでした。つまり「こういう曲を作曲してほしい」という注文を受けて、その通りの作品を仕上げて納めるのが作曲家の仕事だったからです。
ベートーヴェンは、そんな弱い立場を「いらないもの」にしたいと考え、自分が主体的に作った曲を、聴きたい人の前で演奏するというアーティストの立場を確立したのです。
冒頭の言葉を言い換えるならば、「現在は受注生産が“流行”しているが、そんなものについて考えるのはナンセンスだ。むしろそんなシステムが要らなくなるようにするにはどうしたら良いかを考える方が面白い」となるでしょう。
そして実際にベートーヴェンは、それを実現しました。パイオニアというのは、不要なものを廃棄し、その代わりにより優れたものを生み出すことができる人物であることを強く認識してください。
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