森羅万象から学ぶ人生羅針盤「幸福な現代史を綴る」
2022.05.06
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「幸福な現代史を綴る」
以前、中国の歴史解説書『春秋左氏伝』にある言葉である「彰往考来」をご案内しました。文字通り、過去をあきらかにして未来を考えるものですが、未来を見つめるには、まず現代を正確に捉えなければなりません。
それを裏付ける言葉として、イタリアの歴史学者ベネデット・クローチェの「すべての歴史は『現代史』である」があります。要するに、「歴史は繰り返す」という意味を置き換えたものですが、ここで注意しなければならないのは、過去の事象をそのままダイレクトに当てはめてはダメということです。
確かに、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ように、過去の教訓を忘れ、歴史は繰り返されるのでしょう。しかし、何もかも同じことが繰り返されているわけではないのです。人間の心根や本質は、時代が移っても変わりないでしょうが、歴史の当事者や環境、条件に大きな違いがあることを踏まえて現在の状況を分析しなければ、正しい答えを得ることは出来ません。
例えば、独裁国家、独裁者を分析する場合、「○○は戦前のドイツに似ている」「□□はヒットラーそのものだ」と捉えても、決して同一国家、同一人物ではないことを理解するのです。
そして、科学技術の発展がもたらした核をはじめとする近代兵器は、過去の戦争とはまったく次元を異なる展開を可能とさせるのです。さらに、ネット環境の活用による情報収集や拡散において、デマやフェイクがもたらす影響力は、かつてないものになります。こうした点を踏まえて考えることで、はじめてすべての歴史は、今現在に有効な「現代史」となるのです。
歴史を紐解けば、「なぜあんなことをしてしまったのだろう」という後悔の蓄積が見られます。それはまさに、現在と未来の過ちを避けるための警鐘であることを忘れず、幸福な現代史を綴りたいものです。
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