森羅万象から学ぶ人生羅針盤「役に立つ場所と時間が違う」
2022.06.16
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「役に立つ場所と時間が違う」
福沢諭吉の言葉に「実なき学問は先ず次にし、専(もっぱ)ら勤むべきは、人間普通日用に近き実学なり」があります。また、「学問とはただ難しき字を知り、解し難き(げしがたき)古文を読み、和歌を楽しみ、詩をつくるなど、世上に実の無き文学を言うにあらず」と言い換えて、やはり「専ら勤むべきは、人間普通日用に近き実学なり」と結んでいます。
実学の重要性に勘案して、現在では、社会に出てから誰もが活用するパソコンの授業が行われるようになっています。また、今年の4月より成人年齢が18歳に引き下げられたことに呼応して、高校の授業で金融教育が必須とされました。すべての人に共通するお金の基礎を未成年のうちから学んでおき、正しく向き合うようにするためです。
さらに、『ナニワ金融道』などの作品で知られる漫画家の青木雄二氏は、「学校で法律の授業をし、連帯保証人や裏書手形の意味を教えておくべきだ」と指摘していました。確かに、法律だけでなく医学、工学などの実学は、今を生きる我々の幸せづくりに役立ってこそ価値があります。
しかし、その一方で、文学をはじめ、歴史学、哲学、科学など広い範囲の英知を学ぶことによって得られる知識や知恵である教養や基礎教育は、そうした実学を適切に理解・運用するために必要不可欠なのです。
また、数学者の広中平祐氏は「数学をやっていると、よく何の役に立つのかと聞かれます。でも、今はあまり役に立たないかもしれないけれど、10年、100年後にひょっとしたら役立つかもしれない」と指摘しています。
つまり、実学と教養・基礎教育との違いは、役に立つ場所と時間が違うだけなのです。双方の重要性を決して見落とすことなく、正しく認識して身に付けるようにしてください。
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