森羅万象から学ぶ人生羅針盤「心の底から感謝する」
2021.05.09
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「心の底から感謝する」
本田技研工業創業者の本田宗一郎氏にまつわる有名なエピソードとして「油まみれの握手」があります。
本田氏は、社長引退後、「全従業員にお礼を言いたい」として、全国の工場、販売店を回りました。
そして、ある工場で、整備士に握手を求めたら、その手が油で汚れていたため、整備士は手を引っ込め、「洗ってきます」と言ったのです。
それに対して、本田氏は「いや、いいんだよ。その油まみれの手がいいんだ。 俺は油の匂いが大好きなんだよ」と、その整備士の手をしっかり握ったのです。
まさに、本田氏らしい、人の心を引き付ける逸話です。
本田氏は、多くのビジネスマンが憧れる経営者の一人ですが、その一番の要素に、パイオニア精神に溢れている点を挙げる人が多くいます。
しかし、単に、優れたパイオニアであっても、それだけで、果たして多くの優秀な人材がついてくるでしょうか。能力は認められても、人間的に魅力がなければ、人は決してついていかないものです。
しかし、本田氏は、人に対する感謝の気持ちが、誰にも負けないほどに溢れているといっても過言ではないでしょう。
嘘偽りなく、従業員に対して、心の底から感謝しているからこそ、そうした「油まみれの握手」ができるのです。
人の心を引き付けようとして、コミュニケーション・マニュアル本をたくさん読んでも、人間性が貧しいと、上辺だけのテクニックしか身に付きません。そんな人に対して、周りの人は、本当の人間性を見透かしているものです。
その点、本田氏には、真の人間力があり、引退後の“全国行脚”も、「油まみれの握手」も、まさに人間としての魅力のなせる業なのです。
やはり、無理に美辞麗句を並べ立てるようなことをせず、等身大のまま、心の底から感謝することで、心をつかむことができ、人はついてきてくれるのです。
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