森羅万象から学ぶ人生羅針盤「思い止まる勇気を持つ」
2021.12.22
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「思い止まる勇気を持つ」
『三国志』に登場する後漢末期の武将・政治家である曹操は、向こう見ずな部下である夏侯淵(かこうえん)を戒めるため、「将たるものはまさに怯弱(きょうじゃく)の時あるべし。但(ただ)に勇を恃(たの)むべからず」と言いました。人の上に立つ者は、時には恐れというものを知るべきで、勇ましいばかりではダメであるという意味です。
曹操は、チャンスと見れば果敢に攻め、実績を上げてきた武将ですが、一旦不利だと分かると、迷うことなく撤退しました。そうすることで、部隊損耗を軽減し、実利を上げて勝ち上がってきたのです。
しかし、夏侯淵は攻めることばかりに目が行き、特に敵を急襲する戦法を得意としていたので、いつも大きな危険と隣り合わせでした。曹操は、それを大いに懸念し、前述のようなアドバイスをしたのです。
ビジネスにおいて、一度チャンスを掴んだら、全力で取り組んで成果を上げることは大事ですが、不利な状況に陥り、回復の可能性は低い場合は、進むことを思い止まる勇気が必要になります。闇雲に進んで、もし大きな被害が発生すれば、取り返しのつかないことにもつながるからです。
新規事業や、新たに設けた拠点の業績がデッドラインを超えたら、企業トップがまず捨てなければならないのは、「ここで撤退したら男が廃る」などというつまらない自尊心です。これこそが、トップの目を曇らせる最大の害悪なのです。
前述の「怯弱」は、直訳すれば臆病で弱いという意味ですが、それは決して恥ずかしいことではないのです。むしろ、冷静で細心であるという意味に捉えるべきです。そして、進むことを思い止まる勇気を持つことで、リーダーとしての真の役割を果たせることを肝に銘じておきましょう。
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