森羅万象から学ぶ人生羅針盤「悩んで言い澱むくらいで丁度良い」
2023.02.16
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「悩んで言い澱むくらいで丁度良い」
『論語』の一節に「仁者(じんしゃ)はその言や訒(じん)」があります。訒は普段あまり使わない言葉なのでちょっと馴染みがありませんが、人徳のある人は、言葉を慎重に選んで悩み、言い澱んでしまうという意味です。
この言葉を説かれた弟子は、孔子に対して「言い澱んでいたら、せっかくの大事なお話が通じなくなってしまうのではないですか。聞きようによっては、口下手な人なら、みんな立派な人に見えてしまうと思いますよ」と質問したのです。
しかし孔子は、「本当に大事なことの結論を出すのは極めて難しい。だから滑らかにしゃべることが出来ないのは当然である」と答えたのです。
これに似た言葉として、2日前の投稿でも同じ『論語』の「訥言敏行(とつげんびんこう)=君子は言に訥(とつ)にして、行ないに敏(びん)ならんことを欲す」をご案内しました。立派な人は、多少口下手でも、迅速に行動するものであるという意味です。
しかし「訥言敏行」の本質は、不言実行とか決断したら誰よりも早く実行することですが、「仁者はその言や訒」は、真に重要なことをとことん熟考するという意味で、まったく別次元のものなのです。
私もビジネスの上で、多くの人とお会いしますが、中にはその場で結論を出したり求めたりする人がいます。その時に「今ここで決めなくてもいいじゃないですか。話を進めながらさらに検証しましょう」と逆に提案します。
確かに、物事の結論は早く出すに超したことはありませんが、それはどうしても急を要する場合や、逆に夕食のおかずを何にするかなどどうでもよいものに限られるのです。むしろ重要なことほど大いに悩んで、言葉も言い澱むくらいで丁度良いと認識してください。
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