森羅万象から学ぶ人生羅針盤「教養は自分磨きの束子」
2022.03.30
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「教養は自分磨きの束子」
有名な7つの教訓である「福澤心訓」は、実は作者が不明で、勝手に福沢諭吉が書いたとされているようです。しかし、その中味は極めて意味深いものですが、特に2番目の「世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です」は、他の教訓と趣が違い注目に値します。
教養について、日本大百科全書(ニッポニカ)の解説を抜粋・要約すれば、人間の精神を豊かにし、高等円満な人格を養い育てていく努力、およびその成果となっており、教養人の理想とは、専門的な知識や特定の職業に限定されやすいわれわれの精神を、広く学問、芸術、宗教などに接して全面的に発達させ、全体的、調和的人間になることとしています。
例えば、文学はある物事や考えを別な形に置き換えてその本質を教えてくれます。歴史という過去を知ることで未来を見つめることができるのです。哲学は物事の根本や原理を極めて高い合理性や客観性を持って追求するものです。そして、科学全般はこの世におこる事象の裏側にある真理を説明しているのです。
つまり、教養とはできるだけ広い範囲の英知を学ぶことによって得られる知識や知恵であり、いわゆる蘊蓄(うんちく)などではないのです。蘊蓄は単なる豆知識や一口メモです。いくらワインの銘柄や原産地に詳しかったり、単に徳川将軍の15代すべての名前を言えたりしても、それだけでは蘊蓄を語る人の自己満足に過ぎないものです。
このように、蘊蓄を教養と錯覚してしまうと、不要な知識のひけらかしに終わり、周囲の人からみじめに思われるかもしれません。真の教養とは自分磨きをするための束子(たわし)であると心得て、それを用いて人格を輝かせ成長させてください。
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