森羅万象から学ぶ人生羅針盤「本質を理解する力の無さ」
2022.06.15
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「本質を理解する力の無さ」
「本末転倒」という四字熟語があります。これはよく、原因と結果を逆にして考えるという意味に誤解されてしまいがちですが、本来は「根本的で重要なこととささいでつまらないことを取り違えること(デジタル大辞泉より抜粋・要約)」という意味になります。
黒澤明監督の映画『七人の侍』における村の長老と若い村人のやり取りにおいて、野盗から村を守るために用心棒として侍を雇うことを指示する長老に対して、侍たちが村の若い娘に悪さをする可能性を村人が懸念します。しかし長老は、「首が斬られる時に髭の心配をしてどうする」と諫めるのです。村人の指摘は、まさに本末転倒だからです。
最近では、山口県阿武町が給付金4630万円を誤って振り込んだ問題で、電子計算機使用詐欺の疑いで容疑者が逮捕・起訴されましたが、この報道に対して、一部の人の意見に「容疑者よりも役所の方が悪い」というものがありましたが、これも本末転倒だと思います。
確かに、税金の取り扱いにミスは許されないかもしれませんが、その悪質性からいっても、明らかな故意による大金の詐欺をはたらいた容疑者の罪の方がはるかに重いはずです。それに、「容疑者よりも役所の方が悪い」がまかり通りなら、夜遅く人気(ひとけ)のない道を歩いていた人がひったくり被害に遭った時に、「そんな時間にそんなところを歩いているほうが悪い」という意見が当然のように認められてしまうのです。おかしな話です。
ビジネスシーンでも、些末なことばかりを指摘して、物事の進捗を遅らせる指導者がいます。誤った価値観や固定観念、批判精神に基づく本末転倒は、本質を理解する力の無さを露呈することに他ならないことを強く認識しましょう。
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