森羅万象から学ぶ人生羅針盤「次世代に夢を託す」
2022.10.25
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「次世代に夢を託す」
多くの偉人や著名人は、自分の夢を実現したことで評価されているのですが、厳密に言えば、夢の一部を叶えたに過ぎません。例えば、発明王エジソンは、これから発明したいたくさんのものを書き記したノートを遺して鬼籍に入ったのです。
エジソンだけでなく、多くの偉人・著名人は同様の未練を抱えて亡くなったと思います。同時に、どんなに優秀な人間でも得手不得手があり、仮に長生きしても、夢のすべてを実現できたかどうかは疑問の余地があります。
これに関連して、ドイツの作家でノーベル文学賞受賞者であるヘルマン・ヘッセは、「しがみつくことで強くなれると考える者もいる。しかし時には手放すことで強くなれるのだ」と指摘しています。
ヘッセのこの言葉は、一般的には、思い切って自分に不向きなものへの未練を断ち切り、空いたその手で自分に有効な別な何かを掴むことができるという意味に用いられます。
例えば、演出家の蜷川幸雄氏は、俳優として頑張ることを手放し演出家に転身して成功します。そして、シェイクスピアの戯曲の世界観を独自の手法で演出した『NINAGAWA・マクベス』で高く評価され、その後も様々な作品が認められ、「世界のニナガワ」と評されるようになったのです。
そして、もう1つの「手放すことで強くなれる」の意味は、次世代に夢を託して、心の負担を軽減し別な形で強くなることです。偉人ですら夢のすべてを叶えられないのですから、一般的な人であればなおさらです。
特に経営者であれば、「自分の夢はここまで実現するのが限界だ。後は次世代に託そう」と、潔く的確に次世代に夢を託すことで、残りの夢を実現できることを強く認識してください。
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