森羅万象から学ぶ人生羅針盤「理論と実践の両輪」
2021.04.01
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「理論と実践の両輪」
文芸評論家の小林秀雄氏は、『私の人生観』のなかで、「文化の生産とは、自然と精神との立会いである。手仕事をする者はいつも眼の前にある物について心を砕いている」として、手仕事にいそしむ職人や農民をリスペクトしています。
さらに、「文化活動とは、一軒でもいい、確かに家が建つという事だ。木造建築でもいい、思想建築でもいいが、ともかく精神の刻印を打たれたある現実の形が創り出されるという事だ」とも述べています。
つまり、具体的な事物があってこそ、意味があると言っているのです。
そして、批評は、向上には有効で、「創造の塩」であるが、行き過ぎると塩が利かなくなり、批評の中だけでうろうろしてしまい、「何かを生産している様な振りを、大真面目でしているに過ぎない」と発言をしています。
つまり、批評ばかりが一人歩きしても意味がないということで、同時に、自分とは役割が違う、職人が果たす仕事に敬意を払っています。
これは、経営者と、P.F.ドラッカー氏のような経営学者や、マスコミに登場する経済・経営評論家との関係に置き換えても、理解できることです。
経営者は、言うまでもなく、会社経営を実践していますが、往々にして、自分の目の前にある経営課題を遂行することにばかり目がいってしまい、自分の行っていることを、客観的に見ることができません。
しかし、学者や評論家各氏が、数々の研究を元に、データ分析や批評を行ってくれることで、その共通する理論や公式を、自社のケースにあてはめることが可能となり、振り返ることができるのです。
小林秀雄氏の言う通り、批評は、行き過ぎたり、何か生産しているふりをして、独り歩きしたりしてはダメですが、「創造の塩」としては、極めて有効なのです。
まさに、経営は、理論と実践の両輪をもって、実現するものと言えましょう。
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