森羅万象から学ぶ人生羅針盤「産婆術で人を成長させる」
2023.07.16
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「産婆術で人を成長させる」
多くの指導者の愛読書と知られる『言志四録(げんししろく)』の著者で江戸時代の儒学者・佐藤一斎は、「人の過失を責めるには十分を要せず。宜しく二三分を余し、彼をして自棄に甘んぜず、以って自新せんことを求めしむべし」と述べています。
頭ごなしに相手を全否定するだけで、具体的な解決策のヒントを示さなかったり、逆にこちらで全部答えを出したりしてしまえば、自分で物事を考えピンチを打開する力などは一切つきません。
人を指導する際は、なぜ失敗したのかという原因を明らかにし、もしリカバリーの方法が分からなければ、その方向性と解決のヒントを授けることで、冒頭の二三分に当たる「自新」つまり、自分で考えて答えを出し成長するように仕向けるのです。
「自新」に導く方法は、哲学者ソクラテスの「産婆術(助産術)」が有効です。質問を重ねることにより吟味しつつ、当人が意識していなかった新しい考えを産み出させる問答法だからです。
失敗した部下は、みずからリカバリーする知恵を産む力はありませんが,上司がそれを産むのを助けることで、その知恵の真偽を識別することができます。「産婆術(助産術)」は、問答によってヒントを与え成長を実現するのです(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より抜粋・要約)。
いかなる失敗も、それを解決するのは自分自身です。しかし、具体的にどうすれば良いかのヒントを示し、人を失敗から学ばせ成長させるには、「産婆術(助産術)」という優れたテクニックがあることを絶対に忘れないでください。
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