森羅万象から学ぶ人生羅針盤「良臣を育てる」
2021.12.10
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「良臣を育てる」
中国の歴史書『十八史略』のなかに、「願わくは臣をして良臣たらしめよ。臣をして忠臣たらしむなかれ」があります。これは、唐の太宗であった第2代皇帝李世民と、その重臣である魏徴(ぎちょう)の会話に由来するものです
魏徴は太宗に向かって、「どうかわたしを良臣として仕事をさせてください。決して忠臣にはしないでください」と訴えました。これに対し、太宗は「ならば、良臣と忠臣の違いは何か」と尋ねたところ、魏徴は「良臣は、君主とともに天下を治め、名声と繁栄をもたらしてくれます。しかし、忠臣は、君主の過ちを諌めたために誅殺され、最終的にはその国も滅ぼしてしまうものです」と答えました。
良臣も忠臣も、君主に対して諫言しているのですが、良臣は君主のプライドを守る言い方をしたのに対し、忠臣は下手な言い方をして君主の顔をつぶしてしまい、結果として悪者扱いされ殺されてしまうのです。しかし、二者の違いは言い方だけで、本質は同じなのです。
つまり、部下を良臣にするのも忠臣にするのも、すべて指導者次第なのです。魏徴は、それならば、どんな諫言でも大きな気持ちを持ってすべて聞き入れて、諫言した臣下を忠臣にせずに、全員を良臣にしてほしいと言っているのです。
しかし、現実には、ずけずけ言われてプライドが傷つけられたため、せっかくの良いアドバイスを聞き入れず、結果として組織運営に大きな影を落とすことはよくある話です。
やはりそれには、双方の歩み寄りが必要です。指導者は寛大な心で話に耳を傾け、部下は、決して失礼のない言い方に努めるのです。そうすることで、最良の人間関係が成立し、結果として良臣が自動的に育つのです。こういう仕組みを作り、優れた参謀や相談相手となる良臣を育てることは、指導者の最大の使命の一つと肝に銘じておきましょう。
社長ブログ新着記事
-
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「言葉を失うような出来栄え」
-
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「成功してこそ決断」
-
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「やましい心根の人とは距離を置く」
-
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「人間としての真の値打ち」
-
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「夢は前だけにある」