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森羅万象から学ぶ羅針盤「集団欲を満たす」
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森羅万象から学ぶ羅針盤「集団欲を満たす」

2020.10.15

森羅万象から学ぶ羅針盤「集団欲を満たす」
 日本のことわざに「袖振り合うも多生の縁」があります。

 多生とは、仏教用語で、動物や人間などとして何回も生まれ変わることです。
 そして、現世での出来事は、どんな小さなことでも、輪廻の因縁によって結ばれているということです。
見知らぬ旅人同士が、同じ木の下にいる程度のことでも、ひょっとしたら、そうした因縁があるのかもしれないという意味が込められているのです。

 日本人の対人関係には、こうした宗教的な仲間意識をベースにしたものがあります。
 飲み屋で、知らぬ客同士が、意気投合してしまうのは、「袖振り合うも多生の縁」と認識しているからなのでしょう。

ちなみに、人間には、食欲、性欲、睡眠欲などとともに、集団欲があるといわれています。
そして、人間が孤独に耐えられないのは、本能的に仲間と群れていたいという強い欲求、つまり集団欲があるからです。

 また、集団欲を満たす初期段階では、求める仲間は誰でもよいのです。
 しかし、心と心が通じ合える仲間がそばにいないと、たとえ周りを大勢の人に囲まれていても、猛烈な孤独感に襲われます。

 これは、本能的に群れていたいと思う心と、知的な意味で誰かを求める心の2種類があるためです。

 しかし、誰が通じ合える仲間であるかなどは、自らが積極的になって、周りに接する以外では、わからないことです。

 そこで、多生の縁を認識すれば、「この世に生まれる以前からのつながりによるものだ」として、周りのありとあらゆる人に、積極的に接することで、いずれ心と心が通じ合える仲間に出会えるようになるのではないでしょうか。

このように、日本人は、孤独に対する処理の仕方が独特であり、上手いと思います。

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