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政治家と選挙
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政治家と選挙

2019.07.05

2019年7月4日、第25回参院選は公示され、午前8時半から立候補者の届け出が始まりました。
選挙期間は17日間で、21日に投開票されます。改選定数は124(選挙区74、比例選50)となります。
安倍自民党総裁(首相)は、自民、公明両党の与党で、非改選議席を含め総定数245の過半数(改選定数123)を、
勝敗ラインに掲げており、計53議席の獲得を最低の目標としています。
ちょっと前まで、衆参同日選挙が行なわれるのではないかと噂されていましたが、
それは回避され、ホッとしている衆議院議員も多くいると思います。
今回は、政治的なイデオロギーから離れ、政治家にとって選挙とはどのようなものなのか、
そして、政治家とはどういう「生き物」なのか、私見を交えながら、検証してみたいと思います。

■脳の9割で選挙のことを考えている
民社党第8代委員長であり、その後、新進党、民主党で活躍していた衆議院議員・米沢隆氏は、
いつの選挙だったか記憶は定かではありませんが、総選挙(衆議院選挙)開票後の特番において、
「政治家は、脳の9割で選挙のことを考えている。残りの1割で、国民のことを考えている」旨の発言をしていました。
これには、思わず笑ってしまいましたが、あまりにも正直すぎる発言であり、
まさにすべての政治家は、この通りなのだと思いました。
衆議院議長、自民党副総裁を務めた大野伴睦氏の有名な名言に、
「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ」というものがあります。
すべての政治家は、まさに次の選挙までの有期雇用契約社員みたいなものなのです。
議員の種類によって、その任期は違います。
地方議員は4年、衆議院議員は4年、参議院議員は6年です。
その間において、政治家としての収入が保証されます。国会議員なら、
「歳費」と呼ばれる給料が、年間で約2,000万円(推定)が支払われます。
さらに、文書通信交通滞在費が1,200万円、立法事務費が780万円、秘書給与が1,800万円から(※3人の場合)となり、
合計:6,000万円以上が支払われるのです(参考:国会法35条、106条等)。
任期中は、収入は安定していますが、次の選挙で落選すれば、すべてゼロになってしまうのです。

■衆議院議員は常に臨戦態勢
しかし、このなかで、衆議院が任期満了で選挙が行なわれることは、極めて異例です。
私の知る限り、昭和51年12月5日に行われた第34回衆議院議員総選挙以外は、
任期満了に伴う選挙ではなかったようです。
そして、日本国憲法第7条「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、
左の国事に関する行為を行ふ 3  衆議院を解散すること」、
および第69条「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、
十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」に則り、いつでも解散総選挙が実施されるのです。
つまり、仮に衆議院議員に当選しても、翌年に解散総選挙となり、
もし落選すれば、たった1年で無職になってしまうのです。
だから、いつ総選挙が行なわれてもいいように、常に臨戦態勢にあらねばならないのです。
これに関連して、あっと驚くような解散総選挙の象徴といえる例を、3つ紹介します。

■首相の暴言でたった半年で無職になった人も
1つ目は、昭和28年4月19日に投票された第26回衆議院議員総選挙です。
昭和27年10月1日に投票された第25回衆議院議員総選挙の、たった半年後に実施された選挙です。
これは、いわゆる「バカヤロー解散」によるものです。
時の吉田茂首相が、予算委員会において、「ばかやろう」とつぶやいたことが発端なのです。
社会党右派の西村栄一議員との質疑応答中、西村氏は
「総理大臣は興奮しない方がよろしい。別に興奮する必要はないじゃないか」という発言に対し、
吉田首相は「無礼なことを言うな」と応戦。それがヒートアップして、「ばかやろう」という発言につながったのです。
実際には大声で「ばかやろう」といったのではなく、小さく呟いたのですが、
それをマイクが拾ってしまい、西村が聞き咎め、騒ぎが大きくなったわけです。
これを受けて、懲罰委員会への付託動議、さらには内閣不信任案が提出されるも、
採決時に与党側の造反者があり、両案とも可決。そのため、衆議院解散に至ったのです。
しかし、前回の選挙で当選し、今回落選した人のなかには、たった半年で無職になった人もいるのです。
首相の暴言で無職に追いやられたわけで、なんとも切ないことです。

■一つの政党で2人の首相候補を立てる異常性
2つ目は、第36回衆議院議員総選挙で、昭和55年6月22日に投票が行なわれました。
この時、第12回参議院議員通常選挙と同日に実施されたため、史上初の衆参同日選挙となったのです。
そして、これはいわゆる「四十日抗争」からの「ハプニング解散」と呼ばれるものでした。
「四十日抗争」とは、昭和54年10月7日の第35回衆議院議員総選挙において自民党は敗北し、
11月20日の第2次大平正芳内閣の本格的発足までの約40日、自民党内で派閥抗争が行われたことを指します。
選挙に敗北した大きな原因は、大平首相が「一般消費税」導入を公約に掲げたこととされています。
主流派の大平派と田中派に対し、反主流派の福田派・中曽根派・三木派・中川グループの対立は、日に日に激化。
11月2日、反主流派は両院議員総会が行われるはずの党ホールをバリケード封鎖しますが、
ハマコーこと浜田幸一衆議院議員がそのバリケードを粉砕しているシーンは、
みなさんもテレビでご覧になったことがあると思います。
そこまで、子供じみた争いになってしまったのです。
そして、11月6日に首班指名選挙が行われるのですが、
同じ自民党から大平正芳氏と福田赳夫氏の2人が候補になるという前代未聞の事態となるのです。
その後、主流派と反主流派の溝はどんどん深くなります。
そのような中、昭和55年5月16日、日本社会党(当時)が、前述の浜田幸一議員の「ラスベガス・カジノ疑惑」や
「KDD事件」「鉄建公団不正経理事件」などを理由に、衆議院に大平内閣不信任決議案を提出するのです。
当然、大平首相は、自民党の数の論理で内閣不信任案が否決されると思いきや、
反主流派の三木派、福田派の大半が採決を欠席し、不信任案は可決されてしまいます。
これに対し、大平首相は解散権を行使。いわゆる「ハプニング解散」となるのです。
ちなみに、この選挙中の6月12日に、大平首相が急死するというありえない事態が発生します。
それを受けて自民党主流・反主流両派は団結し「弔い選挙」の様相を深め、
22日の投票で、自民党は衆議院で284議席、参議院で135議席を獲得するという大勝を収めるのです。
「バカヤロー解散」同様に、ここでも前回の選挙で当選し、今回落選した人のなかには、たった8カ月で無職になった人もいるのです。

■衆参同日選挙は与党に有利
また、ここで「衆参同日選挙は与党に有利」という感触を得ることになります。
一般的な国民の投票行動のなかに、「衆議院は与党、参議院は野党」というものがあります。
やはり、何だかんだ言っても、実際に国を動かしているのは与党であり、
大臣に任命される政治家の大半は衆議院議員であるため、総選挙では、
安定性確保の目的で、与党に投票する傾向が強いようです。
一方、衆議院のチェック機能を果す参議院には、
与党の暴走を防ぐ意味で、野党に投票する傾向があります。
しかし、衆参同日選挙の場合、「衆議院に与党に入れるなら、参議院も与党でいい」
という同調心理が働き、与党有利の選挙結果となってしまうのです。
このことを知っていた時の自民党幹事長・金丸信氏は、昭和61年7月6日に、
第38回衆議院議員総選挙と第14回参議院議員通常選挙とで、衆参同日選挙を実施。
その結果、自民党は衆議院で300議席、参議院で143議席を確保する圧倒的な勝利を収めるのです。
安倍政権が、今回の参議院選挙を、衆参同日選挙にするのではないかという憶測が飛んだのは、過去のこうした経緯があるからです。

■参議院のとばっちりで解散
そして、3つ目は、小泉純一郎政権時になされた平成17年8月8日の衆議院解散、
いわゆる「郵政解散」からの、9月11日に投票となった第44回衆議院議員総選挙です。
この選挙で、自民党は296議席を獲得します。
これは、平成17年1月21日、小泉首相は施政方針演説で、通常国会において、
かねてよりの公約である郵政民営化法案を提出することを宣言した、
いわゆる「郵政国会」での出来事にはじまります
自民党内の、特に地方議員のなかには、郵政民営化に根強く反対の声を上げる議員がたくさんいます。
いわゆる特定郵便局の関係者が、大きな票田だからです。
それでも、様々な経緯を経て、7月4日の衆議院郵政民営化に関する特別委員会において採決を行い、可決されます。
翌7月5日、本会議で採決が行われ、賛成233票・反対228票という僅差で可決されるのです。
7月13日に、参議院で郵政民営化法案の審議がはじまりますが、反対派の声はどんどん強まっており、
参議院で否決の可能性も高まってきました。
それに対し小泉首相は、「郵政民営化法案が否決された場合には、
衆議院解散をして総選挙で民意を問う」と、高らかに宣言するのです。
そして、あろうことか、8月8日、参議院本会議で、法案は賛成108票・反対125票で否決されます。
これを受け、小泉首相は迷うことなく、衆議院を解散するのです。
これは、衆議院議員にとっては、たまったものではありません。
前回の、第43回衆議院議員総選挙は、平成15年11月9日に実施されましたが、それからわずか2年足らずで選挙です。
当選から2年後の選挙は、決してめずらしくはないのですが、今回は、いわば参議院のとばっちりで解散させられたのです。
しかも、衆議院では、僅差とはいえ可決しているのですから、小泉首相を積極的に支持した人も、職を失う可能性に晒されたのです。
そんな自民党執行部は、郵政民営化法案に反対した議員を公認候補者とせず、
その選挙区に矢継ぎ早に対立候補を送り込んでいきます。いわゆる「小泉チルドレン」による、徹底した締め付けをしたのです。

■自分から「委員長をやります」という恥知らずが政治家になる
このように、参議院議員や地方議員は、有期雇用契約社員みたいなものですが、
衆議院議員の生活は、常に職探しをしているフリーターと同じように、極めて不安定な労働基盤の上に立っているのです。
ではなぜ、彼らは、いわば“上等な浮き草稼業”ともいえるような、政治家という職業を選択しているのでしょうか。
やはり、少しでも国民ためになりたい、国の将来を良くしたいと願っているからでしょうか。
確かに、そうだと思います。しかし、前述の米沢隆氏の言葉を借りれば、脳の1割でしか、国民のことを考えていないのです。
脳の9割で選挙のことを考えなければならないようなら、政治家にならなければ良いのではないかと思うのですか、それは一般人のメンタリティです。
そこには、極めて強い自己顕示欲、自己実現欲があるのです。
これについて、ビートたけし氏は、「『学級委員長をやりたい人はいるか』といわれて、
やってもいいんだけど、大抵の人は、自分から言い出すのは恥ずかしい。
しかし、『僕が委員長をやります』と率先して手を上げるような恥知らずが、将来政治家になる。
だから、政治家が悪いことをするのは当たり前」と言っていました。
つまり、政治家であり続けることが、生きている証そのものなのです。
そのためには、選挙でどんなことをしても勝たなければなりません。だから、土砂降りの雨の中、土下座ができるのです。
前述の浜田幸一氏は、田んぼや畑にスーツ姿のまま入り、有権者に握手することで有名です。
その選挙カーのなかには、同じ色、形のズボンと革靴が、何十本、何十足も用意されており、
汚れたらすぐ取り替えられるように準備されているのです。

■投票こそ唯一の意思表示
そんな政治家の面を見てしまうと、失望するしかないように思えますが、政治学者の小室直樹氏によれば、
「民主主義の定義のなかで、政治家に清廉潔白性を求める記述はない」旨の指摘をしています。
つまり、政治家は善人である必要性はないということです。
日本人が、政治家は品行方正でなければならないと思い込んでいるのは、
おそらく儒教の価値観からくるものだろうとしています。
民主主義は西洋からもたらされたものであり、儒教は孔子の教えが元になっているので、確かに混同してはおかしなことになります。
それでも、政治家が清廉潔白であることに、何も問題はありません。
また、ちょっと癖があっても、要は、国民のために、きちんと仕事をしてくれれば良いのです。
例え、脳の1割しか使っていなくとも、お金の使い方にちょっとおかしな部分があっても、
世の中を少しでもより良い方向にもっていってくれるなら、政治家として認めてもよいのかも知れません。
それに対して、私たちができる唯一のことは、投票行動です。
自分の意思を付託できる候補を当選させるために、清き一票を投じることなのです。
そうすることで、選挙の基盤が安定し、かかる負担が軽くなるのなら、
国民のことを考える脳の割合が、1割から2割に増えることでしょう。
今回の参院選の結果が、どのようなものになるのかは分かりませんが、
よりよい未来、暮らしの実現に向けての大きな一歩であってほしいものです。

      株式会社 躍進  代表取締役社長笠井輝夫

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