森羅万象から学ぶ羅針盤「相手の顔を見て話す」
2020.10.15
森羅万象から学ぶ羅針盤「相手の顔を見て話す」
中国の古典『菜根譚』のなかに「冷眼(れいがん)にて人を観(み)、冷耳(れいじ)にて語を聴く」という言葉があります。
「冷」は、いうまでもなく、冷静という意味です。
「冷眼」は、冷ややかな目つきと解釈するのではなく、冷静なまなざしと理解してください。
人と向き合うときは、冷静な目で判断し、人の話は冷静に聞かなければならないというものです。
つまり、相手の顔を見て話をしなくてはダメということです。
しかし、最近では、ネット社会化に伴うコミュニケーションの在り方で、メールやLINEのやり取りで、大半のことを済ませてしまう傾向が強いようです。
会社の朝礼も一斉送信メールで、伝達事項が伝えられて終わりで、社員同士も、隣同士に座っているにも拘わらず、一切顔を見ることなく、スマホのLINEを通して、やりとりすることが珍しくありません。
しかし、それでは、冷眼、冷耳になって、接することができないと思います。
ましてや、冷静な感情で人の心を動かすものに対処すること(冷情)や、冷静な心で道理を考えること(冷心)も難しいでしょう。
顔には、たくさんの情報が詰まっています。
生まれつきの造作に加えて、立場や人生の積み重ねでつくりあげた顔かたちがあります。
特に、表情には、様々な心理が裏打ちされています。
なかでも、「目は口ほどにものを言う」と言われるように、目を見るだけで、相手が何を考えているか、特にうそをついているか、などを見通すことができるのです。
メールやLINEも合理的ですが、やはり、直接にふれあい、相手の顔を見て話すことが、真のコミュニケーションの基本であることを忘れてはいけません。
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