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森羅万象から学ぶ羅針盤「知識を身体に行き渡らせる」
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森羅万象から学ぶ羅針盤「知識を身体に行き渡らせる」

2020.10.15

森羅万象から学ぶ羅針盤「知識を身体に行き渡らせる」
 落語の登場人物には、そそっかしい人が多いようで、無学な八つぁん、熊さんが、横丁のご隠居から、いい話を聞くと、よく理解もせず、あちこちに吹聴しています。

 これでは、荀子の「口耳の学」そのままです。
それは、以下の通りです。

君子の学ぶや、耳より入りて心に箸(つ)き、
四体に布(し)きて、動静(どうせい)に形(あらわ)る。
小人(しょうじん)の学は耳より入りて口より出(い)ず。

君子は、耳で聞き学んだ学問を、まずは脳や心に浸透させ、最終的に身体の隅々までに行き渡らせます。そして、その学びが日々の行動になって現れます。
しかし、つまらない人は、耳から学んだ学問を、聞きかじりのまま、すぐに口に出して知ったかぶりをします。

そして、君子は、打てば響くものです。
坂本龍馬は、西郷隆盛を、大きな太鼓と評しました。
 小さく叩けば小さく響く、大きく叩けば大きく響くからです。

 西郷隆盛は、学問が自身の血肉になっていたため、聞かれれば答えますが、聞かれもしないことをペラペラしゃべったりはしなかったのです。
 つまり、自分の中に本当の学問を積んでいる人は、ひけらかすことなく、相手に応じて返答できるのです。

 そもそも、学問とは、自分自身の向上のためにするものです。
 しかし、小人は、学問を理解しないまま、ひけらかす一方で、少しも身につかないのです。覚えているのと理解しているのでは、雲泥の差があります。

 耳と口の間は、ほんの十数センチです。この短い距離で、知識を披露してしまったら、1メートル数十センチもある身体全体に行き渡らないのは当然です。

 落語の登場人物のように、知っていることを話したいというのは人情ですが、やはり、知識を身体に生き渡らせてから、披露するように心がけるべきです。

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