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森羅万象から学ぶ羅針盤「恐れを感じ取る能力」
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森羅万象から学ぶ羅針盤「恐れを感じ取る能力」

2020.10.30

森羅万象から学ぶ羅針盤「恐れを感じ取る能力」
 様々なジャンルの達人とよばれる人は、往々にして、物事に細心の注意を払うものです。
 つまり、恐れを知っているのです。

 恐れと言っても、お化けを怖がるような意味の恐れではありません。
 問題やトラブルを察知し、それを回避するものです。
 達人とは、そういう意味での恐れを感じ取る能力の高い人なのです。

 吉田兼好は『徒然草』のなかで、馬術の達人とされた城陸奥守泰盛(じょうのむつのかみやすもり)が、気の立った馬や、鈍感な馬には、あえて乗らなかったエピソードを引用して「道を知らざらん人、かばかり恐れなんや」としました。

 道を知らない人は、つまり高度な専門的知識がない人は、これほどに恐れるだろうかとして、城陸奥守泰盛が乗馬を避けたことを評価しています。
 未熟な人ほど、恐れを知らないせいで、判断ミスから、大きな失敗を引き起こすものです。用心深いことは、極めて重要であるという意味なのです。

 ここで、迷いについても、お話しいたします。
 勉強などは、やるかやらないかを迷ったら、一般的には、やる方向で物事を進めます。
 しかし、それをやったら大きな問題が生じる可能性はあるような迷いの場合、それは恐れに通じ、様々に検討を重ねて、最終的には、止めておくことが賢明な判断といえましょう。

 さらにいえることは、恐れを抱き続けることで、緊張感が生まれ、それが努力の継続につながります。

 下積み時代が長かった成功者の例をとっても、また不遇の時代が訪れるかもしれないという種類の恐れを抱いていると、そうはなりたくないという気持ちが芽生えて、努力を継続するようになるのです。

 いずれにせよ、恐れは、自己を、もうひとりの自分が冷静にみつめる姿勢から生み出されるものであると認識しましょう。

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