森羅万象から学ぶ人生羅針盤「怨みを買わない」
2021.08.03
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「怨みを買わない」
怨みに対する対処の仕方において、古人の教えにも違いがあるようです。
老子は、「怨みに報いるに徳を以ってす」としています。怨みがある相手に対しても、それにこだわらず、恩恵を与えるようにせよという教えです。
これに対して、孔子は、「直を以って怨みに報い、徳を以って徳に報いん」としています。怨みには道理をもって対処し、徳を受けたならば徳によって応えるという意味です。
これは、どちらが正しいとは、明確な判断がつきません。
「怨みの連鎖を避けるため、こちらの怨む気持ちを水に流し、恩恵をもって対処しよう」とするならば、老子の教えを取り入れることになります。
一方、「怨みに対するけじめだけはきちんとつけなければならない。恩徳を受けた相手にだけ恩徳を返せばよい」と考えるのなら、孔子の教えを採用すれば良いでしょう。
老子と孔子それぞれの、怨みへの対処法はよくわかりましたが、ここではっきりと言えるのは、そもそも怨まれるような行動をしてはいけないということです。やっぱり、人の怨みは極めて根が深く、老子はおろか、孔子の教えすら実行せず、怨みには怨みで返す人が多いからです。
よく言われるのは、いじめに対する怨みです。いじめた側は、その事実をすぐに忘れてしまうようですが、いじめられた側は、絶対に忘れません。
そして、孔子は、「利に放(よ)りて行えば、怨み多し」と指摘しています。自分の利益ばかりを追求すれば、怨みを買うという意味です。これは、ビジネスにおいては、特に気をつけなければならないことです。
ライバル会社を強引な手段で蹴落としたり、プライドを傷つけるような言葉で部下を罵倒したり、立場の弱いものを責めたりすれば、それは怨みとなります。
怨みを買うことは、ビジネスだけでなく、人生においても、大きな障害になることを、しっかり認識しておきましょう。
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