森羅万象から学ぶ人生羅針盤「矛盾した指示を出さない」
2021.08.09
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「矛盾した指示を出さない」
心理学の言葉に、ダブルバインドがあります。直訳すれば二重拘束であり、2つの矛盾している事柄に縛られている状態を表しています。
これは、文化人類学者で精神医学者のグレゴリー・ベイトソン氏によって発表されたもので、統合失調症の子供がいる家庭を調べる過程で分かったものです。矛盾する2つの事柄に縛られた子供が、統合失調症になることがあるからです。
これを理解することは、ビジネスにおいても、極めて重要なことです。
例えば、どこの会社も起こることですが、上司から、ある時は「余計なことを考えず言われたとおりにやれ」と指示され、またある時は「少しは自分で考えて行動しろ」と指示されたとすれば、部下は精神的に追い詰められてしまいます。
また、支店を新設する業務命令を受けても、マーケティングの結果、十分な成果が見込めないと判明したため、命令に反発すれば、当然叱られます。しかし、仮に支店を設けても、当然ながら目標の成果は上がらないにも拘わらず、成績不振の叱責はされます。つまり、どっちに転んでも責められるのでは、逃げ道を完全に塞がれているのと同じで、大きな精神的ダメージを受けるのです。
それは、一人が出す指示だけでなく、複数の人が指示を出す場合でも同様です。
直属の上司である課長の指示と、その上司である部長の指示が矛盾している場合などは、部下は間違いなく困惑します。
一見、部長の指示に従えば良いと思えますが、それだと課長のメンツはつぶれてしまい、より近しい立場の上司との関係がギクシャクするのです。
ビジネスにおいて、人に指示を出すときには、決して矛盾してはいけないのです。矛盾だらけの上司は、能力においても人間性においても、間違いなく部下からの信頼を失います。上司たるもの、常に自分の中に一貫した考えを持ち、それに基づく適切な言葉で、的確な指示を出すように心掛けてください。
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