森羅万象から学ぶ人生羅針盤「最適な匙加減を確保する」
2022.01.24
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「最適な匙加減を確保する」
中国の古典『菜根譚』のなかの言葉に、「人の悪を攻むるは、太(はなは)だ厳なることなかれ、その受くるに堪えんことを思うを要す。人に教うるにも善を以ってするは、高きに過ぐることなかれ、当(まさ)にそれをして従うべからしむべし」があります。
「人を叱るときは、過度に厳しくしてはいけない。その人の許容範囲に留めておくべきである。また、善い行いを指導するときも、内容がハイレベルになりすぎることなく、その人が理解できる基準を考慮すべきである」という意味です。
現在では、パワハラ、モラハラという概念が定着し、指導する側が一方的な要求をすることが問題とされるようになりました。相手を尊重して対処しなければ、真意を伝えたつもりでも、実際には伝わっていないことが多く、実効性が確保できないのです。
厳しすぎる叱り方のなかで一番悪いのは、追い詰めて逃げ道を与えないことです。これに関連して、以前、孫子の言葉である「囲師(いし)には必ず闕(か)き、窮寇(きゅうこう)には迫ることなかれ」をご案内しました。敵を包囲し、完全に勝利を確信しても、必ず逃げ道を開けておいて、敵を追い詰めてはならないということです。やけくそになって、何をしでかすかわからないからです。
また、物を教えるときにも、相手のキャパシティを考慮せずに高い要求を突き付ければ、当然ながら理解、達成することはできません。それが原因で、「自分は出来ない人間なんだ」と自信をなくしてしまったら、元も子もないのです。
何事にも、最適な匙加減が必要なのです。それを確保するには、常に相手の立場になって寄り添い、理解することです。そうすることで、適切に叱り、物を教えることができ、優れた人が育つことを忘れないでください。
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