森羅万象から学ぶ人生羅針盤「演出された現場に意味は無い」
2022.03.26
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「演出された現場に意味は無い」
中国の古典『呻吟語(しんぎんご)』の中に「愈(いよ)いよ上れば則ち愈いよ聾瞽(ろうこ)なり」があります。自分の役職がどんどん上がっていけば、現場から離れていくので真実に目が届かなくなり、本当の声も聞こえなくなるという戒めです。
例えば、社長の現場視察だけでなく、保健所や消防署の検査なども、あらかじめ日時を告げて実施されます。しかし、大抵は予定日までに表面上を取り繕うので、いざ視察や検査のときには、何ら問題が見当たらないものです。視察や検査が、問題点の確認ではなく、ダメな日常を改めるきっかけになれば良いというのが真の目的かもしれませんが、すぐに元の姿に戻るのが現実なのです。
これに関連して、以前「君側の奸(くんそくのかん)」という言葉をご案内しました。忠誠を誓っているように見せかけ、自分の意思で陰ながら権力者をコントロールしている人間を表した言葉です。
菅義偉前首相は、政治の師匠である小此木彦三郎元建設大臣から「官僚は、提言してくる政策に、自分の意見を密かに織り交ぜてくるから気をつけるように」と指導されたと言います。こうした官僚に「君側の奸」がいれば、首相は操られ、ひいては我が国の行く末を左右することになるのです。
実態を明らかにするのであれば、抜き打ちチェックしかありません。もちろん、自分の部下を信用することが大事ですが、部下の顔色ばかりを窺っていると、確実に道を間違えます。やはり、演出された現場を見ても何の意味もないことを認識し、時には真実の姿を見て、本当の声を聞くようにしてください。
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