森羅万象から学ぶ人生羅針盤「戦争には一切の栄光などない」

2022.08.15

森羅万象から学ぶ人生羅針盤「戦争には一切の栄光などない」
本日は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」、いわゆる終戦の日です。そして、前回に引き続き、今率直に思うことを述べたいと思います。今回は、人命の尊さです。

　真偽については意見の分かれるところですが、ナチスドイツの親衛隊員アドルフ・アイヒマンや、旧ソ連の最高指導者ヨシフ・スターリンは「1人の死は悲劇であるが、万人の死は統計でしかない」と言ったとされています。

　さらに、喜劇王チャールズ・チャップリンが監督・主演を務めた映画『殺人狂時代』のなかで、主人公が「1人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。数が（殺人を）神聖化する」と、戦争の本質を突いた言葉を述べています。まさに大量殺戮がもたらす感覚の麻痺を痛烈に批判しているのです。

我が国の戦国武将をはじめ、古今東西の歴史に名を刻んでいる英雄は、そのほとんどが戦争の勝利者です。そして、英雄の栄光の影には、何万人もの犠牲を余儀なくされているのです。

　これに対して、唐王朝末期の詩人曹松（そうしょう）の詩『己亥の歳』のなかにある故事に「君に憑（たの）む、話（かた）る莫（な）かれ封侯（ほうこう）の事を、一将功成りて万骨枯る」があります。「お願いですから、軍功を挙げて高い地位を得たいなどと言わないでください。一人の将軍が功名を上げる陰で、おびただしい数の人骨が朽ちていくのです」と、一人が功績を上げる陰で多くの人が犠牲となることを意味しています（故事成語を知る辞典より抜粋・要約）。

かつて「一人も殺さずに済んだことを幸運にそして誇りに思う」と述べた我が国の第二次世界大戦の復員兵がいました。まさに、人の命の尊さを知っている人間であれば当然の気持ちでしょう。

　そして、あらゆる戦争の本質は、「一将功成りて万骨枯る」にすぎないのです。そして、戦争には一切の栄光などないことを人類の共通認識としましょう。

森羅万象から学ぶ人生羅針盤「戦争には一切の栄光などない」

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