森羅万象から学ぶ人生羅針盤「能力とバランス感覚の指導」
2023.01.24
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「能力とバランス感覚の指導」
『論語』の有名な一節に「過ぎたるは猶及ばざるが如し」があります。由来となったエピソードの詳細は省きますが、一人の弟子が孔子に対して、自分とライバルのどちらが優れているかを聞いたのです。
これに対して孔子は、「ライバルのほうが、突き抜けている」と答えたのです。これを聞いた弟子は、「それは、ライバルのほうが優れているという意味ですね」と念を押したのですが、孔子は「そうではない。彼はいろいろな意味で抜きん出ているけれど、丁度良いレベルにはないのだ」として、冒頭の「過ぎたるは猶及ばざるが如し」を述べたのです。
ここで指摘されている「過ぎたるもの」とは、大抵の場合、控えめな精神の欠如です。それが欠如する最大の理由は、うぬぼれによる勘違い、もしくは身勝手なふるまいを、個性や自分らしさと履き違えていることに他なりません。
こうした勘違いや履き違えは、自己顕示欲の強いタイプの人間に起こりがちです。そういう人の中には、我儘と個性の区別がつかない人が多く、何事においても自己満足してしまうのです。
人間関係の中でも、特にビジネスにおいては何よりもチームワークが重要視され、その元になるコミュニケーション能力の高い人ほど評価されます。そのコミュニケーション能力を支えているのは、絶妙のバランス感覚なのです。
能力や実績に恵まれていても、自分を過信して我儘になりチーム内の結束を乱す結果になれば、まさに「及ばざる」、つまり実質的な能力不足なのです。
もちろん、自分の果たすべき役割については、最大限の能力を発揮しなければなりませんが、指導者たる立場であれば、部下に対して、能力と同時にバランス感覚の指導を忘れないことを肝に銘じておきましょう。
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