森羅万象から学ぶ人生羅針盤「先見の明は結果論にすぎない」
2023.02.13
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「先見の明は結果論にすぎない」
私たちが歴史を学んで、成功者、改革者を「先見の明があった」と評価しますが、それは成功や改革の事実に接して、現在の視点で過去を振り返って、後付けの評価をしているだけなのです。
例えば、関ヶ原の合戦で、東軍(徳川家康)についた大名には先見の明があったが、西軍(石田三成)に味方した者には先見の明がなかったとは、あの時点では誰にも言えないことです。
また、初代内閣総理大臣を務めた伊藤博文は、国力にも軍事力にも大差があるロシア相手の日露戦争には反対でした(この当時は、明治政府の元老でした)。しかし、1904年に日本は日露戦争に勝利してしまいますが、その時伊藤博文は「先見の明がない」と批判に晒されたのです。
しかし実は、裏でアメリカのセオドア・ルーズベルト大統領(当時)に協力を求め、それにより戦争を早期終結させ、1905年にポーツマス条約を結んでロシアとの講和を実現させるのです。
ところが伊藤博文のこの働きはほとんど評価されず、それどころか陸軍を中心に、「日本は神国であるから負けるはずがない」として、満州事変(1931年)を皮切りに暴走が起こり、遂には太平洋戦争に突入して大敗するのです。
そして、伊藤博文に対して「日露戦争で勝利すれば、軍部はまちがいなく暴走する」と予見しており、実は先見の明があったという評価が出てきました。なぜなら伊藤博文は、一貫して外交重視の政治姿勢だったからです。戦争では多くの死者が出ますが、外交では人は死なないからです。
「先見の明がありますね」と人を称賛することは悪いことではありませんが、それはあくまで結果論にすぎず、本当の先見の明は誰にも備わっていないことだけは強く認識しておきましょう。
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