森羅万象から学ぶ人生羅針盤「愛嬌のある人になる」
2023.05.31
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「愛嬌のある人になる」
以前、落語『狸賽(たぬさい)』などのマクラでよく使われる「狐七化け、狸は八化け(きつねななばけ、たぬきはやばけ)」という言葉をご案内しました。
狐は7つのものに化け、狸は8つのものに化けられるから、狸のほうが化ける能力が高いという意味ではなく、いかにも利口そうに見える狐よりも、ちょっと間抜けな感じがする狸のほうに油断してしまい、その隙をついて化かしてくるので、狸のほうが狐よりも一枚上手にみられるだけなのです。
これに関連して、松下電器産業(現パナソニック)創業者・松下幸之助は、「人の上に立つ者には愛嬌がなければならない」と述べています。前述の狐と狸の差で言えば、明らかに狸の方に愛嬌があります。そうすると、人が近づきやすい雰囲気は出来上がります。
近づきやすいと感じれば、その人の周りに自然と人が集まります。そうすることで、同時に知恵を集められると松下氏は指摘しているのです。愛嬌がなく取っ付きにくい人だと、いくら話しかけたくても二の足を踏むものです。だけど自分に愛嬌があれば自然と人が話しかけてくれ、その中に大きなヒントや重要な情報がもたらされることがあるのです。
そして愛嬌は、躍進の経営理念の基本哲学精神の1つである「3くばり」の目配り、気配り、心配りの表れでもあるのです。特に、気配りに表れるもので、内閣総理大臣を務めた吉田茂氏も、ワンマン宰相の仇名を持つ一方で、常に冗談を言って周囲を笑わせるような、意外に愛嬌のある人物だったようです。
そもそも、愛嬌のある人物は憎めないタイプの人ばかりです。そんな人はみんなから常に気にかけられています。傲慢で尊大で「3くばり」の無い人からは、自然と人が離れて行ってしまうことを肝に銘じておきましょう。
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