森羅万象から学ぶ人生羅針盤「退き守る勇気を忘れない」
2023.07.05
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「退き守る勇気を忘れない」
名著『武士道』などの著者として知られる教育者の新渡戸稲造氏は、「勇気を修養するものは、進む方の勇気ばかりではなく、退いて守るほうの『沈勇』もまたこれを養うよう心掛けなければならない。両者揃って真の勇気となる」と述べています。
まさに、退く勇気、思い止まる勇気があってこそ、冷静な判断として認められ、本当の勇気があると評価されるのです。有名なことわざに「虎穴に入らずんば虎子を得ず」がありますが、その虎の住む穴に入るにも、確実な成算がなければ入るべきではないのです。
しかし、経営者の中には自尊心が高すぎて、多角化や支店等の新規開設をし、それが赤字を出し会社全体の屋台骨を揺るがすようなレベルになっても「一度やりはじめたことを引っ込めたら自分の名が廃る」と、つまらない見栄に固執する人が少なくないのです。
しかも、そういう人に話を聞いてみると、自ら不振の打開策を懸命に考え講じているのではなく、自分に協力してくれる第三者が突如として現れ、この苦境を救済してくれると、何の根拠もないのに本気で信じている人が多いようです。
仮に、打開策を講じてくれるスーパースターがいても、そんな無能な経営者に協力することはありません。それどころか、うまい話を持ち掛ける詐欺師が現れたり、経営者の不安につけこんだカルト宗教が入り込んだりするだけで、その会社はもうお終いでしょう。
退くこと、思い止まることをカッコ悪いと思うのであれば、常に、次善の策を用意しておき、それに切り替えれば方針転換という名目が成り立ち、自尊心も保たれます。
それでも、自分の判断ミスを素直に認め、退き守る勇気を忘れないことが、やはり冒頭の真の勇気の1つです。それを示すことで、逆に「この人は人として信用できる」と、部下をはじめ多くの人に支持されることを忘れないでください。
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