森羅万象から学ぶ人生羅針盤「見返りをあてにしないで施す」
2023.12.27
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「見返りをあてにしないで施す」
以前にもご案内しましたが、よく誤解されることわざの1つに「情けは人の為ならず」があります。
これは「甘やかすと、最終的にはその人のためにならない」というように理解されているようですが、本来の意味は「情を人にかけておけば,巡り巡って自分によい報いが来る」という意味なのです(大辞林 第3版)。
そして、中国の古典『荀子』に掲載している孔子の言葉である「有りて施さざれば、窮して与えらることなし」もご案内しました。「お金に余裕があれば、積極的に人助けに遣うべきである。そうしていないと、もし自分が困った時に、誰も助けてくれなくなる」という意味でもあるのです。
同様に、アメリカの作家デール・カーネギー氏も「人生はまさにブーメランだ。人に与えたものは手元に返ってくる」と述べています。このように、人のためになることをすれば、不思議なもので必ず自分に報いがあるのですが、だからと言ってその見返りをあてにしてはダメなのです。
それはまさに恩着せがましいことで最も恥ずべき行為です。少し前にも内閣総理大臣を務めた田中角栄氏の、「人に金を渡すときは頭を下げて渡せ。くれてやると思ったらそれは死に金だ」という言葉をご案内しています。
また、ある生物学者が若いころ、隣室の老教授に親切にしていたため、本来なら別な人物を、ある大学の専任講師に推薦すべきところ、「いつも親切にしてくれる隣の若い研究者を紹介しよう」として、栄転したというエピソードもご案内しています。その生物学者は「自分が損をしない限り人には親切にする」という人物で、「損をしない」ことを主眼に置けば誰でもマネできる行為なのです。
そして一切の見返りをあてにしないで施すことは、日本人の尊い美徳であることを忘れないでください。
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