森羅万象から学ぶ人生羅針盤「時代に即し有効でなければ無価値」

2025.08.21

　ビジネスマンの世界に、俗に“バブル入社組”と呼ばれる世代が存在します。バブル経済華やかなころに入社し、御用聞き程度の営業で毎月目標の120％、150％を達成する営業マンがゴロゴロいたのです。

　しかし、バブル経済はとうの昔に崩壊し、現在の就職氷河期に入社した社員とは、市場環境も労働環境も全く違うのです。それにも拘らず、既に管理職となった一部の“バブル入社組”の社員の中には、「俺たちのころはもっと稼いでいた。成績不振はお前らの努力が足りないだけだ」と真顔で言う人がいるのです。

　耳を疑うような話ですが、そもそもバブル時代の御用聞き営業しか知らない社員を管理職に据える会社もどうかと思います。不況時の営業方法なんて、部下に教えようにも教える知識も経験もないのでしょせん無理な話だからです。

　それでも中には優秀な“バブル入社組”管理職がいて、今の時代に合致し、かつ部下の強みを生かす指導法を、管理職として1から勉強しその職責を全うしている人もいます。

　以前、マーティン・スコセッシ監督の映画『カジノ』で、ロバート・デ・ニーロが演じる主人公のサム・ロススティーン（通称エース）のセリフである「やり方は3つしかない。正しいやり方、間違ったやり方、俺のやり方だ」をご案内しました。

　映画のセリフだからかっこよく聴こえますが、もしこの言葉を勘違いして使っていたら誰も耳を貸しません。自分のやり方でも、今の時代に即し、部下にも有効な方法でない限り無価値であることを覚悟してください。