森羅万象から学ぶ人生羅針盤「正道は邪道に勝る」　

2025.11.29

私は高校を中退し、東京に出てきて様々な職業を転々としていた時期がありました。そこで学んだことは、物事には裏があるという現実でした。優しい人ほど利用され、努力しても報われる人はほんのひとつまみなど、実践で学んだ物事の裏は数多くあります。

しかし、その裏を乗り越える本当の厳しさを知ることで今日に至るのです。「確かに裏はこうだ。しかし私は表の正道を歩く」と堂々としていることは損な役回りが多いものです。

　それでも、「損して得取る長者の商い」のごとく、裏道の邪道で成果を上げても長くはもちません。しかし正道を歩むときに生じる損は、必ず巡り巡って成果をもたらしてくれます。

　それは私の会社・躍進が身を置く住宅産業では、特に当たり前のことです。手抜き工事、つまり安易な利益獲得のための裏道を歩く業者で、生き残っているところはありません。現在存在していても消えるのは時間の問題です。

　つまり正道を歩むことは、大木がしっかり根を張るまでの時間が必要なことによく似ているのです。それには時間が掛かりますが、一度しっかりとした根を張ってしまえば、どんな嵐にも負けません、それまでを耐えうる時間が本当の厳しさを教えてくれるのです。

　正道を歩む損を覚悟した人に、最終的な成果が巡ってくるものです。なぜなら周囲の人はその姿を見ているからです。そして不思議なもので、裏道、近道を不正な手段で歩むと、どんどん運が離れていくのです。

　私は物事の裏を知ると同時に、実証実験で正道を歩む本当の厳しさを知ったから、20年以上にわたって企業トップでいられたという自負があります。これは自慢話ではありません。正道は邪道に勝ることを証明しただけなのです。