森羅万象から学ぶ人生羅針盤「経験を正しく評価する」
2021.09.14
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「経験を正しく評価する」
「おばあちゃんの知恵袋」や「亀の甲より年の功」などの言葉がありますが、同じ知恵でも、経験に基づく知恵には、大きな価値があるという意味です。
これに関連して、『韓非子』に「老馬之智(ろうばのち)」という故事があります。長い経験に裏付けられた知恵は、適切な判断をもたらすという意味です。
中国の春秋時代、斉の宰相である管仲は、遠征の帰りに道に迷ってしまいましたが、「老馬は一度通った道を覚えている」ということを信じ、その馬を放って後をついていくと、無事に帰還できたという逸話に基づいているのです。
もちろん、この「老」には、ただ単に歳を取っているというのではなく、経験者という意味が含まれています。
子育ての悩みを年長者に相談する場合でも、実際に子育てした人に相談するはずです。博識な年長者でも、子育て経験のない人では、仮に相談しても、意味ある答えを得られるとは限らないからです。
以前、長年の勘についてもご説明しました。様々なジャンルの専門家が、長い経験で身につけた膨大な情報、データ、知識などを、無意識に瞬間的にまとめ上げた答えが長年の勘なのです。まさに、経験によって培われた宝なのです。
また、経験を評価するには、先入観を払拭することが重要です。例えば、「若い世代のほうが、ITリテラシーが高い」という先入観は、大きな誤解の元になります。若くてもITに一切興味のない人もいれば、中高年の方でも自分でパソコンを組み立ててしまうようなレベルの人もいるからです。
組織のトップ、リーダーたる人は、経験を正しく評価し、適切な人材を生かすことが、組織の活性化につながることを肝に銘じておきましょう。
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