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森羅万象から学ぶ人生羅針盤「善行を投資と勘違いしない」
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森羅万象から学ぶ人生羅針盤「善行を投資と勘違いしない」

2022.05.05

森羅万象から学ぶ人生羅針盤「善行を投資と勘違いしない」
 禅宗の考え方の1つに「無功徳」があります。禅の行為は無心のもので、けっして果報をあてにしないということ(精選版 日本国語大辞典より抜粋・要約)です。

 これに関連して、中国禅宗の開祖・達磨大師が、梁(りょう)の武帝(ぶてい)に会った際の有名な逸話があります。
 武帝は、仏教に対する信仰心が篤く、多くの寺院を建立するなど仏教の保護・普及に努めてきました。それに対してどんな功徳があるのかを達磨大師に尋ねたのです。すると大師は「無功徳です。つまり何もありません」と答えました。

 少し前に、功徳とは「現在、また未来に幸福をもたらす良い行ない。神仏の果報を受けられるような善行」(精選版 日本国語大辞典より抜粋・要約)であることをご案内しましたが、それでも果報を期待しながら善行を積んではいけないのです。真の善行とは、損得を超越した清らかな心と行いなのです。

もっと分かりやすく言えば、投資ではないのです。投資であるならば、当然ながら何らかのリターンを求めるでしょう。しかし、リターンを得るために善行をしたのであれば、そこにはもう清らかな心などなく、もはや善行ではないのです。

 そんな見返りを求めて何かをするという姿勢は、自然に相手に伝わるもので、ともすれば「こんな人に変な借りをつくると、後で何を要求されるかわかったものではない」とされ、敬遠されることもしばしばあります。

 以前、「陰徳を積む」とは、人に知られることなく良い行いを重ねて行うことであることをご案内しました。そして、「陰徳あれば必ず陽報あり」というように、人知れず良い行いをすれば不思議と良い報いがあるのです。

 見返りを求めたり、恩着せがましくしたりすることは、やはり見苦しいものです。善行を投資と勘違いせず、見苦しい欲を捨てることこそが、真の善行であることを肝に銘じておきましょう。

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