森羅万象から学ぶ人生羅針盤「求めに応じて忠告する」
2022.09.15
森羅万象から学ぶ人生羅針盤「求めに応じて忠告する」
オランダの人文学者デジデリウス・エラスムスの言葉に「求められる前に忠告をするな」があります。一見、大げさに思えるような指摘ですが、相手のためを思ってする忠告でも、タイミングを見極めなければ、物事の真意は伝わらないものです。
大事なのは、相手の頭も心も聞く態勢になっていることです。例えばビジネスシーンにおいて、部下が「何が良くなかったのでしょうか」と言った時は、忠告を聞きたい態勢が整った時です。それを踏まえて、結論、説明、補足、総括の順に、極めて簡潔に的を射た忠告をすれば必ず伝わり、有効に生かされます。
さらに上司は、忠告してほしいという申し出だけでなく、部下の無言のSOSサインも読み取る技術を身につけましょう。そのサインは言葉に表されていなくても態度に現れるもので、間違いなく忠告を求めているのです。
それでも、求められていないにも拘わらず、往々にしてなされてしまう忠告が、健康に関することです。そのベースにあるのは、「あなたのためを思っている」という善意で、決して悪気などはないからです。
しかし、求められる前に忠告すれば、余計なお世話だと思われてしまうものです。そして、その内容も一般人による健康のアドバイスだと、自分の成功体験に過ぎないものが多く、必ずしも科学的・医学的なエビデンスに裏付けられたものではないため、単なる自慢話で終わってしまうようです。
いずれにせよ、そうした求めに応じてから忠告しなければ、場合によっては相手が抱いている不快な感情の火に油を注ぐことになり、逆効果になり得ることも忘れないでください。
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