森羅万象から学ぶ人生羅針盤「徒弟制度に一石を投ず」
2026.03.08
森羅万象から学ぶ人生羅針盤
「徒弟制度に一石を投ず」
先日、マスコミでもよく知られているある実業家が、出演したYouTube番組で寿司職人について極めて刺激的な発言をし、物議を醸しました。
その内容は、「寿司屋は馬鹿のための仕事」「ブサイク・頭が悪い・家が貧乏……そんな人たちが行っていた職業だ」といった、聞くに堪えない差別的なものでした。
この実業家は以前から、「店で何年も修業する必要はなく、数カ月の研修で寿司を握る技術は習得できる」という、いわゆる“修業不要論”を唱えてきた人物でもあります。
つまり、長年の徒弟制度よりも、短期間の実技研修の方が合理的で効率的だという主張です。
しかし、私のように建築・住宅業界に身を置いてきた者にとっては、昭和の時代の職人の世界を思い出さずにはいられません。
当時、大工の一年生は工具すら持たせてもらえず、一日中ほうきと塵取りを持って現場の清掃に明け暮れるのが当たり前でした。
その合間には先輩職人から言いつけられる様々な雑用もこなさなければなりません。今振り返れば、現代の価値観ではパワハラと受け取られてもおかしくない現場も少なくありませんでした。
こうした徒弟制度には、「雑用も精神修養の一つである」という考え方があります。
しかし本来大切なのは、ただ雑用をこなすことではなく、修業の身にある者が「これは何のための修養なのか」を悟ることにあるのではないでしょうか。
掃除一つ、雑用一つにも意味があり、その意味に気づいたとき、初めて人は自ら学び始めます。
つまり、何のために修業するのかを自覚することこそが、本当の学びの源流なのです。
ところが、職人の世界では「習うより慣れろ」「技術は盗むもの」と言われ続けてきました。
ものづくりの腕は優れていても、人を育てる技術が必ずしも重視されてこなかったのも事実でしょう。
そのため、どの世界でも一人前になるまで十年かかると言われてきたのです。
もちろん冒頭の実業家の発言は決して看過できるものではありません。
しかし一方で、長く続いてきた徒弟制度のあり方に一石を投じたという点については、考えさせられる部分もあります。
果たして、伝統の中で育まれてきた職人の道はこのままでよいのか。
それとも時代に合わせ、新しい育成の形を模索すべきなのでしょうか。
皆さんは、この問題をどのようにお考えになりますか。
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